「コンビニで10万円の買い物」「名刺に30ぐらいの肩書き」知られざる“超富裕層”の暮らしぶり

 閉塞感が漂う現代社会。多くの人々が仕事や育児など、日々の生活に追われ、未来への不安を抱いている。

 しかし、その一方で、まるで別世界に住んでいるかのような“お金持ち”たちも存在する。野村総合研究所の定義としては、純金融資産額が5億円以上の世帯が「超富裕層」とされているが、2021年に行われた調査の結果では9万世帯で意外と多い。にもかかわらず、その実態はあまり知られていない。超富裕層の驚くべき暮らしぶりとは?

 今回は、彼らと出会い、金銭感覚の違いに衝撃を受けたという2人のエピソードをお届けする。

◆専門学校に通う理由は「白衣を着てビーカーを振りたかっただけ」

 文系大学出身の花田洋司さん(仮名・20代)は営業職に就いていた。

「営業職が自分に合わないと思っていました。転職するために化学分野の専門学校に通い始めたんです」

 そこで出会ったAさんが超富裕層だったのだ。

「第一印象は見た目も普通で、ほかの生徒と変わらない印象でした。年齢は私よりも少し上に見えましたが、真面目に授業を受けているようすから、“特別な人”とは思えませんでした」

 花田さんが通っていたのは、平日は仕事をしながら週末に通う人が多い社会人コース。そのため、まさか裕福でお金落ちの人がいるとは想像もしていなかったそうだ。

 しかし、Aさんと会話をしていくうちに、驚かされることが多々あったという。

「ある日、名刺をもらったんですが、そこには30ぐらいの肩書きが書かれており、頭の中で理解が追いつきませんでした」

 Aさんの話によれば、ワインのソムリエを目指してソムリエスクールに通ったり、漫画家志望でスクールに入ったり、さらにはタレント養成所にも通ったりと、新しい挑戦を次々と続けているようだった。

「化学の専門学校に通う理由が、『実は白衣を着てビーカーを振りたかっただけ』だと聞いたときは、本当に驚きましたね」

◆人生は“壮大な暇つぶし”

 専門学校やスクールの費用は決して安くはない。そんな多彩な活動をしているAさんに対して、花田さんは「一体どこからそんなお金が出てくるのか」「なぜそんなに時間に余裕があるのか」という疑問を抱いた。思い切ってそのことをAさんに尋ねてみると、彼の答えは驚くべき内容だった。

“親の会社を引き継ぎ、代表を務めている”

「自身は会社の運営には直接関与せず、すべての業務を部下に任せていると話していました。『だから時間は無限にある』と言うんです」

 Aさんは、人生を“壮大な暇つぶし”のように捉えていたと花田さんは言う。

「興味を持ったことに手を出しては飽き、次々と新しいことに挑戦し続ける生活を送っていました。そして案の定、Aさんは半年ほどで学校に来なくなりましたね。彼はよく、『何を買うにも値段を見ることはない』と言っていましたね。お金に困らず、人生の選択肢が無限にある人として、Aさんの存在は今でも記憶に残っています」

◆コンビニで10万円の買い物


 笹島雄大さん(仮名・40代)は持病があり、病院に通院している。

「私の主治医であるB先生は、高校の先輩で部活も一緒だったのでとても身近な存在です。気さくな先生なので、患者さんたちに人気があり院内は常に混んでいます」

 笹島さんとB先生の関係は、患者と主治医にとどまらず、時には一緒に楽しくお酒を飲むこともあるという。

 ある飲み会の日、2次会はB先生の自宅にうかがうことになり、笹島さんだけではなく後輩7人も同行することに。

「急な訪問だったので、B先生の奥様に迷惑をかけないように、近くのコンビニで買い出しをすることになりました」

 そこで、“医者の財力”を目の当たりにする。

「B先生が、7人全員に『1つずつ買い物カゴを持つように』と指示してきたんです。そして、『1人1カゴ、好きなだけ何でも詰めてOKだよ』と言われました」

 はじめは遠慮していた笹島さんだったが、B先生が自らカゴをいっぱいにしている姿を見て「まじか!」と、後輩とともに“遠慮なく購入”することにしたという。

「結局、合計8カゴが満タンで、すべてB先生が支払ってくれました。深夜のコンビニのレジを30分占領し、総額は約10万円! レシートは2メートルくらいの長さになっていましたね。『医者ってすごいなぁ』と私たち庶民は素直に感心しました」

◆生命保険に毎月20万円の支払い

 また、生命保険についてもB先生の驚くべき支払額を知ることになったそうだ。

「私とB先生は身近なつながりもあったので、保険会社の担当者が同じだったんです。ある日、担当者から『別の保険会社に転職するから、そちらに変更してもらえないか』と頼まれました」

 しかし、持病を抱えている笹島さんにとって、今入っている保険を解約して新しく加入することは難しい。

「私は担当者に、『通院しているから今は新しい保険には変更できない』と断りました。その際、なぜかB先生の話題になりました」

「それは個人情報なので口外してはいけない内容では?」と思いつつも、B先生の毎月の生命保険料の合計支払額に驚愕してしまったという。

「なんと、毎月20万円だそうです。一般庶民がその額を生命保険に支払ったら、それこそ生命の危機だというのに……」

 笹島さんは、「一般庶民との金銭感覚の違いを思い知らされた」と本音を吐露した。

<取材・文/chimi86>

―[超富裕層の生活]―

【chimi86】

2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。