『FF』『聖剣伝説』は失速…『ドラクエIII』は?2024年のヒット作&不発作、ゲーム界の明暗

―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―

 2024年も残すところあとわずか。今年もゲーム界にはたくさんのヒット作・話題作が登場しました。その陰で、期待に応えられなかったタイトルも……。というわけで今回は2024年ゲーム界の明暗を振り返っていきたいと思います。まずはヒット作から!

◆2024年を代表するゲームは?

●『パルワールド』

ポケットペア/1月19日配信/PC、Xbox Series X/S、Xbox One、PS5

 2024年の初頭に「ポケモン風のキャラがかわいい!」とゲーム界を賑わせたのが日本発のインディーゲーム『パルワールド』。不思議な生物「パル」を集める、自由度が高いオープンワールドサバイバルクラフトゲームで、発売から1ヶ月で総プレイヤー数2500万人を突破しました。

 7月にはソニー・ミュージックエンターテインメント、アニプレックス、『パルワールド』運営のポケットペアが合弁会社「パルワールドエンタテインメント」を設立し、ライセンス事業を行うと発表。その一方で、9月には任天堂と株式会社ポケモンから特許権侵害でポケットペアが訴訟されるというニュースも……。今後の『パルワールド』の展開が気になります。

●『エルデンリング』ダウンロードコンテンツ『SHADOW OF THE ERDTREE(シャドウ オブ ジ エルドツリー)』

フロム・ソフトウェア/6月21日配信/PS5、PS4、Xbox Series X/S、Xbox One、Steam

『シャドウ オブ ジ エルドツリー』は、オープンワールドアクションRPG『エルデンリング』のダウンロードコンテンツ(以下、DLC)。新たなフィールド「影の地」を舞台に、新ボスや新武器を実装し、独自の神話的世界をさらに広げました。

 発売後3日間で世界500万本以上の売上を記録。続編と言ってもいいほどの大ボリュームとクオリティの高さで、DLCながら2024年の「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」にもノミネートされました。

◆世界的大ヒットの中国ゲーム

●黒神話:悟空

Game Science Interactive Technology/8月20日発売/PS5、PC

 日本では知名度はやや低めですが、世界的に熱視線を浴びたのが、中国の新興スタジオGame ScienceによるアクションRPG『黒神話:悟空』。『西遊記』のその後を描き、発売から約3日で売上本数1000万本を突破。発売から1ヶ月で2000万本を超えたとの報道もありました。

『原神』を筆頭にスマホゲームでは中国発のタイトルが目立っていましたが、据え置き機向け大作でも中国ゲームの存在感が増しそうです。

◆スマホでポケカ収集が人気に!

●Pokemon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)

ポケモン/10月30日配信/iOS、Android

 10月末に配信されるや一気にスマホアプリの主役に躍り出たポケモンカードアプリ『ポケポケ』。課金売上の指標となるApp Store、Google Playのセールスランキングでも、長らく1位を続けていました。

 1日2パック無料で開封でき、レアカードも出やすいというビギナーにやさしい仕様が人気の秘密。新たな拡張パックは12月17日に追加予定。『ポケモンGO』のように社会現象化するでしょうか?

◆新要素も追加されたドラクエⅢ

●ドラゴンクエストIII そして伝説へ…

スクウェア・エニックス/11月14日発売/Nintendo Switch、PS5、Xbox Series X/S、PC

 国内市場では今年最大級のヒット作となったリメイク版『ドラゴンクエストIII』。ドット絵と3Dが融合した温かみのある映像表現「HD-2D」で往年の名作が蘇りました。

 主人公の父親オルテガの新エピソードや新職業「まもの使い」が追加され、さらに難易度も選べるように。発売から3週間で、全世界出荷・ダウンロード販売本数が200万本突破と発表されています。国内での『ドラゴンクエスト』ブランドの強さは健在です。

 上記以外のヒット作では、『マリオパーティ』シリーズとしては出だし好調で、年末年始のパーティゲーム需要を受けさらに伸びそうな『スーパー マリオパーティ ジャンボリー』(任天堂/10月17日発売/Nintendo Switch)もあります。

 熱中度が高いカイロソフトの経営シミュレーションと藤子・F・不二雄ワールドという強力IPがタッグを組んだ『ドラえもんのどら焼き屋さん物語』(カイロソフト/Switch版8月28日配信開始/Nintendo Switch、iOS、Android)も話題作。

 また、昨年末に人気を呼んだホラー系インディーゲーム『8番出口』(KOTAKE CREATE/Steam版2023年11月配信開始/Steam、Switch、MetaQuest、PS5、PS4)のフォロワー系ゲーム、通称「8番出口ライク」も2024年に大量出現。ゲーム実況との相乗効果でジャンルとしてのブームになりました。

◆想定よりも苦戦したタイトルは?

●『ファイナルファンタジーVII リバース』

スクウェア・エニックス/2月29日発売/PS5

 リメイク版『FFVII』3部作の2作目で、今でも語り草となっている悲劇のシーンが描かれる『リバース』。公式の売上本数発表はなく、一部では全世界販売本数200万本はどうにか超えたのではないかと言われています。

 1作目の『FFVII リメイク』は、発売から3年後の2023年9月に「世界累計出荷・DL版販売本数700万本突破」と公式発表されていて、『リバース』もロングセラーコースに乗る可能性はありそうですが、瞬間風速的にはやや盛り上がりに欠けた印象です。

●CONCORD(コンコード)

ソニー・インタラクティブエンタテインメント/8月23日発売/PS5、Steam

 残念ながら「今年最大の失敗作」と言われているのが、1人称ヒーローシューター『CONCORD』。発売日当日のSteamでの同時接続者数が振るわず、発売2週間でサービス休止。購入者へ全額返金が実施されました。

 開発は2023年にSIEが買収した「Firewalk Studios」(10月末に閉鎖を発表)。『CONCORD』には8年の開発期間がかかったと言われており、それが2週間で終焉というのはあまりにもショッキング。開発期間が伸びて予算も増大化、さらに発売後にもランニングコストがかさむという現状の問題点が表面化した出来事と言えるかもしれません。

◆17年ぶり新作の人気RPGは…

●聖剣伝説 VISIONS of MANA

スクウェア・エニックス/8月29日発売/PS5、PS4、Xbox Series X/S、Steam

 往年の人気RPGシリーズ約17年ぶりの新作となった『聖剣伝説 VISIONS of MANA』。中国大手のネットイース傘下の新設スタジオ・桜花スタジオによる期待作でしたが、初動が伸び悩んだようで、売上本数の公表はなし。ネットイースは対日ゲーム投資を再考し、桜花スタジオも大幅に人員を削減したというニュースもあり、ゲーム開発の難しさを感じさせます。

 上記以外では、『仁王』のTeam NINJA開発の『Rise of the Ronin』(ソニー・インタラクティブエンタテインメント/3月22日発売/PS5)や、久々の完全新作となった『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』(任天堂/11月7日発売/Nintendo Switch)も期待より伸び悩んだのでは……との声が上がっていました。

 ここまで一気に2024年ゲーム界の明暗を振り返ってきました。遊び残したソフトがあれば、ぜひ年末&お正月休みにいかがでしょう!

<文/卯月鮎>

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【卯月鮎】

ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も