母「体験は宝だから」…泣きながら弾いたピアノ。子どもの頃の思い出
―菊池さんご自身が子どもの頃は習い事などされていましたか。
私の母は自分自身もアクティブだし、子どもたちにも「体験は宝だから色々とやらせたい」みたいなタイプでした。コンサートとかバレエとかミュージカルとか、連れていってもらいましたね。妹と3人で。
習い事も、バレエを幼稚園のときに、ピアノを4歳から12歳までやっていました。母は自分がピアノを途中でやめていたみたいで、娘たちにはちゃんと弾けるようになるまでやらせたいということで、とても厳しくされました。家にアップライトのピアノがあって。
ピアノの先生も厳しくて、私はあまり好きじゃなかったです。子どもに言う表現じゃない言葉で教えたり。毎日1時間以上の練習で、泣きながらやったり。指が動かなくて間違えると、「はいもう1回」って言われたり、同じところを50回やってとか。中学に上がる頃に、勉強が忙しくなるからと自分から言ってピアノはやめました。
ピアノだけはトラウマじゃないですけど、こんな感じだったので、自分から子どもに対して「ぜひやろうよ」とは言わないですね。本人が「やりたい」って言ったら別ですけど。
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母は働くのも遊ぶのも好きな人なので…菊池さんの「親」との関係性
―菊池さんのお母さん(子どもたちの祖母)はお近くに住んでいますか。
両親は私が子どもの頃に離婚していて、今住んでいるところは母親の実家の近くです。
ただ、私の母は働くのも遊ぶのもとても好きな人なので、孫がいつ来てもいいよという感じではないんですね。まだ若いし、自分の予定で忙しいので、預けすぎるとあまりいい顔をしないというか。元気でいいんですけどね。
なので、実家が近いから助かるということはあまりないです。いざというときは助けてくれると思うんですけど、「ありがとう、ありがとう」って言いながらだと肩身が狭い感じもするので、お金を払ってシッターさんに頼んでというほうがさっぱりしていて私の気持ちは楽です。もちろん高かったらできないですけど。
―ご自身もひとり親家庭で育たれたんですね。
そうですね。父との交流は今でも続いていて、出産前ですけど、父と旅行とかもしていました。今は母と父の関係は良好で、父が母のもとに遊びに来たりもしています。
子どもの頃は、ひとり親であることが何か恥ずかしいという感じがしていました。別に引け目を感じることではないと思うんですけど、「ひとり親だと貧乏なんじゃないか」とか、そういう偏見をクルクルと子どもの頭ながら考えてしまうんですよね。それもあって、離婚したことは周りの人には言っていないです。
例えば、これは私の今のママ友の話ですけれども、「何々さんちの子がいじめられたんですって、いじめた子はひとり親なんですって」っていう話をしてきたんですね。私がシングルだということは知らないので。お母さんしかいないから、叱ってくれる人がいないから、子どもがだらしないんじゃないかとか、乱暴なんじゃないかとか。まだそういう偏見があるんだなって思いました。
子どもが学校で親が離婚していることがわかって、いじめられたり、差別を受けたり、偏見を持たれたりしたら嫌だなというのもあって。学校の先生は公言しないと信じているので言いましたけど、ママ友とかには言っていないです。
困ったときに安心して相談できるのは、本当の他人ですね。近くにいる人ではなくて。あるNPOのメルマガには登録しているのですが、まだ相談したことはありません。
インタビュイーのプライバシーに配慮して名前は仮名とし、一部の情報に加工を施している。
今井 悠介
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
代表理事