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●東京・下北沢で行列が絶えない大人気パスタ店『シモキタ洋麺店』とは?
飢餓に苦しんだ先祖のDNAがそうさせるのか、たいして大食いでもないのに、大盛り料理や盛りの良い一皿を見ると、それだけで心がざわめき、興奮してしまうことがあります。今回ご紹介する、東京・下北沢の『シモキタ洋麺店』のパスタの画像を偶然SNSで見かけたときも、まさにこの状態に陥りました。控えめに言って、ものすごくソソられました。
写真には、「海の幸シーフードペペロンチーノ」とメニュー名が付記してありました。皿から溢れんばかりのスープ、盛りだくさんのシーフード、そして山盛りのスパゲティ。これはもう食べるしかない、と強く思いました。営業時間と場所を確かめ、すぐさま下北沢行きの電車に飛び乗ったのです。
結論から言うと、『シモキタ洋麺店』は死ぬほど美味しかったです。しかし、そのパスタを味わうまでの道のりもまた死ぬほど険しいものでした。というわけで、いざ実食レポートしていきましょう。
店の場所がわかりづらく、長時間並ぶ!
まず、『シモキタ洋麺店』の場所は少々わかりにくいです。地図を頼りに歩いていくと、なぜかスタバにたどり着きます。『シモキタ洋麺店』の看板はどこにもありません。ウロウロしたり、また来た道を戻ってみたり。ただでさえ下北沢は古着屋や雑貨屋がひしめいているので迷ってしまい、また洋麺店に行くはずが洋服屋に入ってしまったりと、店に到着するまで、駅を降りてから30分以上も要しました。
スタバが目印です
そしてもう一度、スタバ付近に戻って周囲を見回してみると、「パスタランチ」という旗を発見。その細い路地を進むと、突き当りにお店がありました。やっと見つけた、と思いきや、店名が違います。そして左手を見ると、マンションの扉が空いており、そこに小さな立て看板が。まさに、そこが『シモキタ洋麺店』だったのです。わかりにくい……!
しかし、まさかここからさらに1時間ちかく待つことになるとは、このときの自分は予想だにしていませんでした。
店の入口ですが、すぐには店内に入れません。待ちます
まず、扉の先には先客が2人いました。この日は平日の昼。「待ち客は2人だけか、3番目ならすぐに呼ばれるハズ」と思って待つことに。
最初の待ちスペース
しかし、その考えは浅はかでした。この待ちスペースの先の死角に、さらに“外待ちスペース”(4〜5人分)があったのです。つまりこの画像で見えている2人の先にもまだ待ち客がいたわけです。大ショックです。
次の待ちスペースは外。冬の今はとても寒いので厚着&カイロを持って行きましょう
前に並んでいたお客さんの話によると、『シモキタ洋麺店』はご主人一人だけのワンオペ体制であり、しかも席数が少なく、インスタなどで大人気ということもあって、非常に待ち時間が長いことで有名なんだそう。
とくに季節的に外待ちは寒い! 手足が冷えてきて、カイロを持ってこなかったことを激しく後悔。しかも、店内の扉はかたく閉ざされており、中がどんな状態なのか確認することもできません。正直、あまりの苦行に、途中で「諦めて帰ろうかな」と思ったりもしました。しかし、待つこと約1時間、ようやく入店のときが来ました。
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多種多彩なスープパスタの数々!
塩、トマト、クリーム、イカスミなど、いろいろなソースのスパゲティがあります!
店内は、12席+カウンター1席。確かにご主人のワンオペなので、ものすごく忙しそう。スプーンやフォーク、エプロン、お水などはセルフサービスです。そしてここで、メニューを見ます。めちゃくちゃ種類が多い! 塩、トマト、クリーム、ミートやツナ、ウニなんていうのもあります。
店主・岩崎裕繁さんのワンオペなので、お水やエプロン、フォーク・スプーンなどはセルフサービス
しかし、迷うことはありませんでした。というのも、長すぎる待ち時間の間に、スマホでこの店に関するあらゆる事柄を検索しまくった挙げ句、「ペペロンチーノ」(1650円)に大葉トッピング(+150円)、さらにガーリックトースト(350円)を追加、と決めていたからです。
待つことしばし、最初に登場したのはセットのサラダです。
どのメニューにも付いてくるサラダ
このサラダ、レタスだけのとてもシンプルなもの。少し拍子抜けしましたが、上にかかっている野菜と果物をすりおろした自家製ドレッシングがちょっと信じられないほど美味しかった! この時点で、「この店は当たりだ!」と確信。そしてそれは間違いではありませんでした。
続いて登場したのが、お待ちかねの「ペペロンチーノ」です。
パスタの量は普通で130g。通常の店の大盛りなので、少食の方は少なめ90gで注文を!
ご覧ください! 下のお皿にこぼれ出そうなたっぷりのスープ。さらに大きな海老、イカ、殻付きアサリ、そして山盛りのパスタ。期待以上の迫力あるビジュアルに感激!
まずスープを一口飲んでみると、「おっ!」と思わず声が漏れ出てしまうくらい旨味たっぷり。魚介から出た滋味深いダシに、ニンニクと唐辛子がいい具合のパンチを利かせています。パスタにも味がしっかり染み渡っており、全方位的にウマすぎる! トッピングした大葉も大正解で、磯の風味とともに爽やかさ全開!
スープがうますぎる!
そしてガーリックトーストを注文したのもまた大正解でした。パスタを平らげた後、残ったスープにトーストをたっぷり浸して食べる極上の幸せが約束されるのです。しかもこのガーリックトースト、タダモノではありません。バケットがカリカリッ&モチモチッとしていて、ガーリックペーストはとろとろで、とても優しい味わい。最後は皿がカラッカラになるまでスープを飲み干して、ジ・エンド。
まとめ
ガーリックトースト350円
というわけで、店に着くまで迷ったことも、1時間待ったこともすべての苦行が一気に雲散霧消するほど美味しいパスタでした。正直、感激しました。
実際、食べてみて思ったのは、“盛りの良さと美味しさは七難隠す”ということ。店の場所がわかりにくく迷ったとしても、入店するまでに1時間以上並んで外待ちで寒くて震えたとしても、結果、盛り盛りの美味しい一皿を食べられたら、それだけで幸せになれるのです。
トマトやイカスミなどまだまだ食べてみたいものが山ほどあります。道に迷うことはもうないと思いますが、ここには1時間以上待つとわかっていても再訪すると思います。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO
店名:シモキタ洋麺店
住:東京都世田谷北沢2-30-6 coopMK101号
営:火〜金11:00〜16:00(15:15LO)、土日祝11:00〜18:00(17:15LO)
※2024年12月のみ〜17:00(16:15LO)
※スープ完売次第営業終了
休:月(祝日の場合は翌日休)
現金のみ/予約不可
Instagram:@shimokita_pasta