皆さんが冬に必ず育てる定番植物はありますか? 冬は花が少なくなるとは言え、パンジーやビオラ、シクラメン、葉牡丹など、この時期にしか出会えない花は数々あります。これまでオージープランツなど多種多様な植物を育て続けて30年になるガーデンプロデューサーの遠藤昭さんが冬に必ず育てている定番植物は、パンジーとストック。なぜこの2種を育てているのか。育てて30年の経験と栽培のコツを、先輩ガーデナーに教えていただきます。
冬は「のんびり」ガーデニングを推奨
長年ガーデニングをやっていて、常日頃、草花の水やりをはじめとした世話に追われ、時に、「のんびり」ガーデニングを素敵に楽しみたいと思うことがある。その絶好の機会は、雑草など生えず、樹木も成長を止める冬である。そんな「のんびり」ガーデニングを楽しみたい冬に、何を植えようかと悩まないよう、例年、パンジーとストックを「冬の定番」としてかれこれ30年近く育ててきた。
キモッコウバラ(左奥)やロベリア(右)が咲く時期でも、パンジーの花付きは衰えていない。
なぜパンジーとストックなのか? それは10月中旬から5月の連休までと長い期間咲き続けてくれる優等生だからだ。比較的、苗も安く入手でき、余裕のある時は実生(種まき)で育てたりするのも楽しい。ほかの季節はオージープランツをはじめ、比較的マニアックな手の掛かる植物を育てている反動からか、冬は手間の掛からないパンジーとストックを定番に育てることに落ち着いた訳である。
平凡なパンジーとストックを冬の定番にして30年になると言うと、なんだか「進歩の無い人」に思われるかもしれない。しかし、毎年の定番という花の存在は、ホッと安らぎを感じさせてくれるのである。
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パンジーとストックを定番にした理由
日々のガーデニングをSNSで情報発信していると、つい新しい情報や背伸びした内容をアップしたくなるものだが、やはり、自分が癒やされ、くつろげる自然体のガーデニングが一番である。30年前を振り返れば、私はガーデニング初心者だった。その時に「初心者でも育てられる植物」がパンジーとストックだったのだ。それに加え、毎年定番の草花を育てるメリットは、「育て方」を毎年経験し、熟知するので失敗がなく、安心していられることだ。
また、この20年でパンジーもストックも品種の性質が向上しているので、安心して育てられるのを年々実感している。昔から親しまれているオールドパンジーやストックこそ、私にとって親しみがある冬の定番なのである。
私のパソコンで過去20年間の写真の中から、パンジーとストックを検索したら約1,000枚の写真がヒットした。年間にすると50枚だから、11月から4月の6カ月間に、ひと月9枚の写真を撮った計算になる。そんな20年間に撮った写真で冬の定番草花のパンジーとストックの魅力をお伝えしたいと思う。