税務署はどこまで調べる?事前に確認してくることとは 


相続税申告書と印鑑
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相続税の税務調査が行われる前に、税務署は提出された相続税の申告書をしっかりと精査します。申告内容に疑問点がある場合や、他の資料と照合して合わない部分がある場合、それらをまとめながら訪問前の事前調査を進めます。

税務署が確認する主なポイント

    預貯金の残高
申告書に記載されている預貯金はもちろんですが、ご自宅周辺にある金融機関の通帳を持っていない場合などは、その金融機関に口座開設がないかも確認します。また郵便局の通帳はほとんどの方が口座を開設している可能性が高いため、相続税の申告書に郵便局の通帳残高が記載されていない場合も照会を行います。

    通帳の履歴
申告があった通帳の過去5年間の取引履歴を金融機関から取得し、入出金をチェックします。金融庁の通達により、金融機関は通帳履歴を10年間保管しておく義務があるため、税務署は取引履歴を入手することが可能です。税務調査時に「通帳は捨てた」「燃やした(実際のお話)」と相続人が回答しても、税務署は既に通帳をチェックしてきています。

    不動産の状況
申告書に全ての不動産が記載されているか、共有不動産の漏れがないかを確認します。

    死亡保険金の有無
申告書の記載内容が、保険会社から提出された情報と一致しているかを確認します。

    故人の過去の確定申告の内容
不動産収入などがある場合はその不動産が申告書に記載されているか、収入に見合う預貯金の残高が申告書に記載されているかを確認します。

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相続税の税務調査の流れ

相続税の税務調査は、税理士が関与している場合は担当税理士に、担当税理士がいない場合は相続人に直接電話にて税務調査の旨の連絡があります。税務調査は任意なので日程の調整は可能ですが、基本的に税務調査を拒否することはできません。税務調査は故人の自宅または相続人の自宅にて、調査官が朝10時頃から16時頃まで訪問して行われます。

税務調査の流れと注意点

    訪問調査の時間
調査は午前10時から16時までで、お昼休憩は1時間です。調査官は外出するので、お昼ご飯の準備は不要です。食事を準備していても調査官は食べません。

    お茶やお菓子の提供は問題なし
調査官にお茶を出す程度は問題ありません。仮に高価な茶菓を出しても、調査に影響はありません。

    家にあるカレンダー、ティッシュ箱もしっかりチェックされる
家にあるカレンダーやティッシュに申告書に記載のない「〇〇証券」「〇〇銀行」などのロゴや名前がある場合は、申告が漏れているのではないかと疑問を持たれる可能性があります。

    訪問調査は通常1日で終了
調査官は必要書類をコピーして持ち帰り、その日から署内でさらに調査・検討を重ねます。そのため調査期間は長くて数カ月に及ぶ場合もあります。