税務署員は調査でどんな質問をしてくる?その意図とは…
税務署には調査時の質問マニュアルがあり、調査官はそのマニュアルにそっていろいろな質問をします。そのいくつかの質問と、その意図を見て行きましょう。
「故人の出身地はどちらになりますか?」
・出身地の不動産が漏れていないか
・出身地に銀行口座を有していないか
「故人の居住の状況、単身赴任の状況などを教えてください。」
・過去の居住地に不動産を有していなかったか
・過去の居住地に預金口座を有していなかったか
・過去の居住地に証券口座を有していなかったか
「故人の趣味は何かありましたか?」
・ゴルフの場合、ゴルフ会員権の財産漏れがないか
・囲碁将棋の場合、高価な碁盤、碁石などを有していなかったか
・絵画、書画骨董の場合、高価なコレクションを有していなかったか
「お亡くなりになった原因と病気の発症時期、意思能力の有無を教えてください」
・発病後に多額の入出金があった場合、故人の意思で行ったものかを確認
・意思能力がない期間に、通帳の出金があった場合の資金の行き先
・意思能力がない期間に、節税対策の行為がなかったかどうか(本人の意思で行っていない対策は全て無効)
「ご自宅のリフォームはされましたか?」
・リフォームをした家屋の価値の増加部分も相続財産となるため、その部分が相続税の申告に反映されていたかどうかの確認
「老人ホームに入居されていましたか?」
・老人ホーム入居一時金返還金は、相続財産とあるため有無を確認
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税務調査官の会話からとある事実が発覚…追加課税に!
あるご家族が税務署に相続税の申告書を提出して約8カ月後、相続の税務調査が実施されました。その時の実際にあった出来事なのですが、調査官との会話の中である事実が明るみに出て、最後は相続人である親子の目が点になったお話です。
■調査官と相続人の会話
(調査官)今回の相続税の申告で、相続税を2500万円納めて頂いていますね。
(相続人)そうです、大金を納めたんですよ。国は無駄遣いをせずに、この税金を大切に使ってほしいものです。
(調査官)おっしゃる通りですね。ところで奥様、この相続税はどうやって納められたんですか?
(相続人)お金で納めたに決まっているじゃないですか。変なこと聞かないでください。
(調査官)それは分かるのですが、みなさんの通帳に税金分の引き出し記録がないようです。申告書によると、手元にも現金はなかったようですし。どこのお金で納めて頂いたのでしょう。
(相続人)‥‥‥‥‥‥。
【ポイント】税務署は、相続後の相続人の通帳もチェックしてくることがある
このご家族は相続税を納める際に、故人がタンスに残していた現金を使って、相続税を納めていました。いわゆる「タンス預金」です。このタンス預金も故人が残した財産として相続税の対象となります。こういった、思わぬところからタンス預金が発覚し、追加で課税されることもあります。