コーヒーの未来が危ない!「コーヒー2050年問題」を考える

このままだと将来コーヒーが飲めなくなるかも? 最近ちらほらと私たちの耳に届き始めてきた「コーヒー2050年問題」。そこでハワイ・コナにあるUCCの直営農園からの声と共に、世界的にも注目が集まるコーヒーを巡る課題への理解を深め、今、私たちにできることを考えてみたい。

ネイチャーポジティブという新たな目標も掲げて


「ネイチャーポジティブ」とは、経済活動の発展に伴い野生の動植物の個体数が減少の一途をたどる中、失われた生態系を回復するため「ポジティブ」に推進するアクションのこと

直営農園を持ち、1本の苗木から育て自然と向き合ってきたUCCは、おいしいコーヒー作るのも健全な生態系が必要であると認識し、「カーボンニュートラル&ネイチャーポジティブ」も目標として掲げている。

2030年までに森林の破壊や転換を伴わないと確認されたコーヒー豆のみを使用することを宣言。コーヒー業界の複雑なサプライチェーンの中で、コーヒービジネスに関わる全ての関係者と、消費者にもこの考え方を伝え、コーヒーを巡る地球環境への貢献と幸せをもたらすことを目指し、大きな枠組みで活動を続けている。

「コーヒーのことは農園を知らないと分からない。農園を深く知り、行動を重ねれば、未来はきっと変えられる。そう信じています。ただ、コーヒー農園といってもジャマイカやホンジュラスなどなかなか行ける場所が少ないですよね。ここハワイ・コナでは旅先の延長でコーヒー農場を目にすることができる貴重な場所ですので、ぜひいらしてみてください。

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今、私たちができることは?

「コーヒー2050年問題」は、業界全体で取り組む必要のある世界的な問題。そんな大きなアクションに私たち消費者は何ができる? 


安いコーヒーの大量摂取は誰も幸せにしない

ブラウンシュガーや蜜のような上品な甘さと、ボリューム感が、希少なコナコーヒーならではの味わい。まずは、コーヒーをカフェインという機能性だけに頼る中毒的な飲み方ではなく、味わいを楽しむドリンクとして考え直してもいいかもしれない。フェアな価格で、気軽に飲めるコーヒーのおいしさの裏側に広がるストーリーは、たくさんの人たちが紡いでいる。食事とも同じように、良い素材を見極めて、感謝して味わうことが、コーヒーを巡る問題を解決に向かわせる小さな一歩になるはずだ。


希少なコナコーヒーの数々を販売。売り切れることも多々あるので、商品ラインアップは随時変わる


コナコーヒーはもちろん、コーヒーを使ったデザートや焼き菓子なども楽しめる

そんなコーヒー2050年問題にまつわるストーリーを知って、良質なコナコーヒーが味わえる「UCCハワイコナコーヒー・エステート」。今年オープンしたばかりの直営カフェでは、専任スタッフが常駐し、100%コナコーヒーの無料テイスティングと共に、農園の取り組みについて教えてくれる。また、目の前に広がる農園で収穫された200gの生豆を自分好みの焙煎(ばいせん)度で仕上げて持ち帰れるというサービスもある(1人50ドル、2人より参加可能)。100%コナコーヒーのアイスクリームに100%コナコーヒーのエスプレッソをかける、ここだけでしか食べられない「アフォガート」(8ドル)は、アメリカ本国からのゲストにも大人気だそう。


コナコーヒーのおいしさをデザートでも満喫できる

2025年春には、JTBと共に「UCCハワイコナコーヒー・エステート」を訪れるツアーを開催予定だとか。コーヒーが抱える課題や取り組みのプレゼンテーションのほか、コーヒーの収穫や焙煎の様子、これから公開となるゲストハウスでのバーベキューなども盛り込まれているので、コーヒーの現状を知るいいチャンスになること請け合い。最新情報はUCCの公式HPなどでチェックしてみて。

さまざまな配慮がなされたコーヒーを積極的に選んで消費するというアクションを積み重ねることが、コーヒーの適正価格を推進させるきっかけとなり、コーヒーを育てる人、コーヒーが育つ大地へと伝わっていくはずだ。

text: Tomomi Seki Manton

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