住むと性格が変わる?…“高いところ”に住む人の共通点

古今東西、権力者が住む建物は高台にあるイメージがありませんか。

高い場所のほうが守りやすく攻めにくいという、防衛上のメリットもあるのかもしれません。

それだけでなく、一般の人々の生活を見下ろすことで、自分が特別な存在であり、一般人とは住む世界が違うことを確認し、優越感を満たしたい気持ちもあったのかもしれません。

では、威張っている人が高いところに住むようになるのか、高いところに住んでいるから威張るようになるのか、どちらだと思いますか?

マイアミ大学の研究チームが発表した研究によると、建物の「上層階にいる人ほど、意識のなかで権力をもっている感覚が強くなる傾向」があるそうです(2018年5月25日産経新聞)。

今回の崖の上に住む男性が元から威張り屋だったのかはわかりません。

でも、私は、住環境が少なからず住んでいる人の性格に影響を与えているのではないかと思いました。

周りに家もなく、近所との交流も強制的に断たれ、いわば夫婦2人で孤立した状態です。

崖の上から降りて立会いに臨んでくれたときの男性は、まったく威張ったところもなく、素朴なお人柄を感じられました。

崖の上に住むのは見晴らしもよく、若くて健脚なうちはよいのではないかと思います。お年を召していくにつれて坂の上り下りは大変になり、自然と上り下りする回数も減って、近隣に住む人たちとだんだん疎遠になってしまうのではないかと、なんだか心配になってしまいます。

できれば、お身体の不自由がないお元気なうちに、「地上」に降りて生活してほしいと願ってやみません。

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擁壁のある土地は危険!?

今回ご紹介したような崖の上にある物件は、擁壁の危険性も見逃せません。

傾斜地や崖地のような高低差のある宅地には擁壁が必ずありますが、擁壁の耐用年数はおおよそ20年から50年と言われています。

実際、2020年に擁壁の崩壊により近くを歩いていた学生が土砂に巻き込まれて亡くなる事故が発生しています。

擁壁の持ち主が自分のものであると把握していない場合があることも、今回のケースで知っていただけたと思います。ですから、適切に管理できているかは確認しようがありません。

いつか崩れることがあると考えると、擁壁を含んだ土地や、擁壁の真下など、すぐ近くにはできれば住まないほうがよさそうですね。

国土交通省のホームページには、「我が家の擁壁チェックシート(案)」というページが掲載されています。現在、擁壁のある土地に住んでいる場合や、擁壁近くに住んでいる場合は、ぜひ一度このページで擁壁のおおまかな危険度を確認することをおすすめします。
 

平田 真義
土地家屋調査士