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●向島の住宅街にある老舗『洋食あきら』でサラリーマンや地元民に愛される洋食を食べる。
東京都墨田区向島は花街として栄え、今も向島芸者とお座敷遊びができる数少ない街です。スカイツリーのお膝元で、カフェやごはん処も新旧あり、そぞろ歩くのにおすすめなこの街に、老舗洋食屋『洋食あきら』はあります。
昔懐かしい下町の洋食屋へ行ってみましょう。
花街に近い住宅街に佇む『洋食あきら』
東武曳舟駅西口から住宅街に入り徒歩約8分、京成曳舟や押上からも徒歩圏内の場所。40年以上の歴史があるノスタルジックな佇まいです。窓を這うツタやレンガ壁、手書きメニューが雰囲気たっぷり。
開店5分前に到着したら、既にサラリーマンが3人並んでいました。時間と共に店内に案内され無事着席。その後も客がやってきてどんどん席が埋まっていき、あっという間に満席! あとから客が入ってきては断られるという人気ぶりです。
迷いそうになるほど豊富なメニュー
グランドメニューもありますが、ボードのメニュー写真がプリントされた本日のおすすめ料理から、みんな番号で注文していました。サービス品というだけありリーズナブルで、おかずが2種以上組み合わされてお得感満載。人気の「エスカロップ」と「カニコロ」を食べるべく、13番を注文しました。
うまいと評判の「エスカロップ」と「カニコロ」を定食でいただく
1400円で得られる絶景
10分ほどで、料理が到着。まだ料理が届いていないグループ客のテーブルが賑やかで、他に料理が運ばれてくる度に「うまそう」「楽しみだ」と声があがり、味への期待が高まります。ひたひたにソースが染みたトンカツ「エスカロップ」に重ねるように配置された「カニコロ」。極上の眺めです。食欲がそそられる揚げ物とソースの茶色のコントラストが秀逸。付け合わせには、マカロニサラダやキャベツの千切りが盛られています。
お皿に盛られたごはんに洋食屋らしさを感じ、キャベツのみそ汁という和が入り混じるところには下町らしさを感じます。
「エスカロップ」と「カニコロ」
「エスカロップ」は、北海道根室市のご当地料理。フランス語では薄切り肉のことを指しますが、根室ではトンカツにデミグラスソースをかけたものをいいます。バターライスやケチャップライスの上にトンカツをのせることもあるそう。
「エスカロップ」の断面の美しさよ
「エスカロップ」は、ナイフがすっと入るほどやわらかで、すぐカットできます。赤味がかったデミグラスソースがトンカツの衣に余す所なく染みてしっとり。脂が適度にのった豚肉はソースの味を堪能できる絶妙な厚さです。ソースはコクがありつつもあっさりと食べやすい。一瞬で胃の中に消えていきました。
絶品「カニコロ」の断面 [食楽web]
「カニコロ」(カニクリームコロッケ)はサクサクの衣に、とろとろのカニクリームが包まれています。橙色のクリームはカニのうまみがこれでもかとたっぷり詰まって濃厚。「エスカロップ」と同じソースでいただきます。
お皿に広がった大量のソースは余るかと思いきや、付け合わせのレタスやキャベツの千切り、マカロニに付けて食べていると、あっという間になくなっていく不思議。ソースを最後の1滴まで残したくない、お皿を舐め回したい……そう思ったのは私だけではないはずです。
コーヒーで〆。支払いは現金のみ
食べ終わって帰ろうとすると、メニューには書かれてなかったコーヒーがおまけでやってきました。食後のコーヒーのほろ苦さでお腹を落ち着けられてありがたい。
歩いていると建物の間からスカイツリーが顔をのぞかせる
次は何番を食べようか、アルコールやおつまみメニューも豊富だから飲みに訪れるのも楽しいはず。スカイツリーを横目に散歩して帰れば、新しさと懐かしさが入り混じる下町界隈の良さを感じることができるでしょう。
(撮影・文◎乃々)
●SHOP INFO
店名:洋食あきら
住:墨田区向島4-5-7
営:11:30〜14:00、17:00〜20:00
休:火曜