1.業種と職種の違いとは?
業種は事業内容、職種は仕事内容を表す
業種とは、会社や個人事業主がおこなう事業の種類を表します。例えば、農作物や家畜を生産・販売する農業や、建設や工事をおこなう建設業、医療行為や介護・保育サービスを提供する医療・福祉業などが挙げられます。
一方、職種は従事する仕事の種類を表します。職種の例には、営業職や人事職、経理職などが挙げられ、担当する仕事内容や職務に応じて分類されています。
業種が同じでも職種が異なることや、逆に同じ職種に就いていても業種が異なることもあります。
tips|混同しやすい「職業」「業界」「業態」との違い
「事業の種類」を表す業種、「仕事の種類」を表す職種と似た用語に、「職業」「業界」「業態」があります。それぞれの違いを簡潔に紹介します。
職業:生計を立てるための仕事や個人の肩書きを指します。
(例)会社員、公務員、個人事業主など
業界:同じ産業に携わる企業や事業主をグループ化したものです。
(例)製薬業界、ファッション業界、自動車業界など
業態:企業の営業形態やビジネスモデルを指します。
(例)小売業では「百貨店」「スーパー」「コンビニエンスストア」、飲食業では「ファストフード」「ファミリーレストラン」など
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2.代表的な業種・職種の分類一覧
業種の大分類一覧表
総務省の「日本標準産業分類」によると、業種は20種類に大別されています。
農業、林業漁業鉱業、採石業、砂利採取業建設業製造業電気・ガス・熱供給・水道業情報通信業運輸業、郵便業卸売業、小売業金融業、保険業不動産業、物品賃貸業学術研究、専門・技術サービス業宿泊業、飲食サービス業生活関連サービス業、娯楽業教育、学習支援業医療、福祉複合サービス事業サービス業(ほかに分類されないもの)公務(ほかに分類されるものを除く)分類不能の産業
参考:総務省「大分類項目表」(2023年7月告示)
上記の大分類はさらに中分類、小分類と細分化されています。例として、製造業で食料品を製造する企業は「食料品製造業」(中分類)に、さらに調味料を製造する企業は「調味料製造業」(小分類)に分類されます。
職種の大分類一覧表
従事する仕事の種類を指す職種は、厚生労働省で15の職業に分類されており、さらに99の中分類、440の小分類に細分化しています。以下に、大分類とそれぞれに属する主な職種(中分類)を紹介します。
大分類 |
中分類 |
---|---|
1.管理的職業 |
法人・団体役員 など |
2.研究・技術の職業 |
研究者、開発技術者、建築・土木・測量技術者 など |
3.法務・経営・文化芸術等の専門的職業 |
法務の職業、経営・金融・保健の専門的職業、記者、写真家、デザイナー など |
4.医療・看護・保健の職業 |
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、栄養士 など |
5.保育・教育の職業 |
保育士、幼稚園教員、学童保育等指導員、家庭的保育者、学校等教員 など |
6.事務的職業 |
総務・人事・企画事務、秘書、受付、医療・介護事務、会計事務 など |
7.販売・営業の職業 |
小売店・卸売店店長、販売員、営業 など |
8.福祉・介護の職業 |
福祉・介護の専門的職業、施設・訪問介護の職業 |
9.サービスの職業 |
理容師、美容師、美容関連サービス、飲食物調理、接客・給仕の職業 など |
10.警備・保安の職業 |
警備員、自衛官、看守、消防員 など |
11.農林漁業の職業 |
動物飼育や造園を含む農業、林業、漁業の職業 |
12.製造・修理・塗装・製図等の職業 |
生産設備オペレーター、製品製造・加工処理、機械組立工 など |
13.配送・輸送・機械運転の職業 |
配送・集荷、バス運転、乗用車運転、鉄道・船舶・航空機運転の職業 など |
14.建設・土木・電気工事の職業 |
建設、土木、採掘、電気・通信工事の職業 など |
15.運搬・清掃・包装・選別等の職業 |
荷役・運搬作業員、清掃・洗浄作業員、選別・ピッキング作業員 など |
参考:厚生労働省「令和4年版 厚生労働省編職業分類表」
業種と職種がよくわからない場合は?
従事している業種がわからない場合は、総務省の「職業分類表」を参照するか、政府統計ポータルサイト「e-Stat」でキーワード検索をし、自分の業務内容に合致する分類を確認してみてください。大分類を見てもわからなければ、中分類、小分類と細分化して、業務内容を最も正確に表す項目を選ぶのがおすすめです。
一人で経理、営業、事務など複数の職種を兼務している場合、どの職種に該当するのかわからないという人もいるかもしれません。そのような場合は、まず現在の業務をリストアップし、最も重要な業務は何かを軸に整理してみましょう。
転職の面接などで職種を説明する際は、これまでの経験からアピールしたい業務内容や役割、得意分野を重点的に伝えるのがおすすめです。