寒い時期はヒートショックによる体調の異変が危惧されます。ヒートショックは高齢者だけでなく50代女性も気をつけたい症状。自分でできる対策や予防法をまとめました。
冬に急増するヒートショックとは
まずはヒートショックのメカニズムを知りましょう。
急激な温度変化で起こる
ヒートショックとは、急激な温度変化で血圧が乱高下して体調に異変をきたすことをいいます。一時的に脳への血流が減少してめまいや立ちくらみ、一過性の意識障害を起こすことがあるほか、心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる病気が起こることも。
心筋梗塞や脳梗塞は血管の病気で、動脈硬化によって血管が詰まり、血液が流れなくなることで起こります。浴室でヒートショックが起こると浴槽で意識を失い、おぼれるリスクも高いため注意が必要です。
血圧が上がりやすい冬に多発
冬は寒さによる血管の収縮などで血圧が上昇しやすい傾向にあります。そのような時期に暖房が効いた部屋から温度の低い脱衣所や浴室へ移動するなど、あたたかい場所から寒い場所へ移動すると血圧が急激に変動してヒートショックが起こりやすくなります。
11月から4月にかけての寒い時期は、高齢者を中心に入浴中に意識を失い、浴槽でおぼれて亡くなる事故が多発しています。
高齢者に多いが、50代も注意
ヒートショックのリスクが高いのは65歳以上の高齢者です。理由として、高齢者は血圧を正常に保つ機能などが衰えやすいことが挙げられます。
高齢者以外でも、高血圧の人は急激な温度変化による血圧の変動が起きやすくなります。糖尿病、脂質異常症の人も動脈硬化を起こしやすいため、血圧の変動に気をつけましょう。
女性は更年期以降、高血圧や動脈硬化になりやすいといわれています。更年期とは閉経を挟む前後10年間のことで、一般的に45~55歳頃までです。
女性ホルモンのエストロゲンには血管をしなやかに保つはたらきがありますが、更年期以降は女性ホルモンの分泌が減少するため、高血圧や動脈硬化のリスクが高まります。
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在宅時・外出時のヒートショック対策
家の中で過ごすときや外出するときの対策をご紹介します。家の中では温度差を小さくすることが重要。リフォームは有効な手段ですが、難しい場合は自分でできる対策もあります。
自宅での対策【お風呂】
入浴前に脱衣所・浴室をあたためる
浴槽の蓋を開けて蒸気で浴室をあたためる、脱衣所に暖房器具を置くなどの方法があります。
お風呂の温度は41度以下、つかる時間は10分以内を目安にする
熱いお湯(42~43度)は血圧が高くなりやすいので注意しましょう。
かけ湯をしてから湯船に入る
心臓から遠い足元から順にお湯をかけることで、血圧の急激な変動を予防します。
湯船から立ち上がるときはゆっくり動く
急に立ち上がると脳に血液がまわらず意識を失ってしまうことがあります。
食後すぐの入浴、飲酒後の入浴、薬の服用後の入浴は避ける
食後は血圧が下がりやすい傾向にあります。飲酒後はアルコールが抜けるまで入浴を控えましょう。精神安定剤や睡眠薬を服用した後の入浴も避けましょう。
入浴前後に水分を補給する
脱水による血圧の低下を防ぎます。
入浴前は同居家族にひと声かける
心臓や脳に持病がある場合や、高齢者の場合は家族に声をかけてから入浴しましょう。
自宅での対策【トイレ】
トイレをあたたかくする
暖房便座やトイレ用の暖房器具を活用するほか、上着を羽織ってトイレに行くなどの方法があります。
便秘に気をつける
排便時に強くいきむと血圧が上がりやすくなります。また、便座から急に立ち上がると血圧が下がりやすくなります。便秘がちの人は排便時に強くいきみやすいため、改善に努めましょう。
外出時の対策
外出するときは上着やマフラー、帽子、手袋などを着用し、しっかり防寒対策をしましょう。ポストに郵便物を取りに行く、ゴミを出すといった短時間の外出でも、あたたかい室内から寒い屋外へ出るときはきちんと防寒をすることが大切です。