今の暮らしに寄り添いながら、印象を変えることができる模様替えは、気持ちを一新し、暮らしを心地よく整えるいちばん手近な方法です。
発想の転換で住まいをアップデート! そのヒントとなるお家を取材しました。
今回お宅を拝見したのは・・・
ヨーガンレール プレス
武 安輝子さん
パリ第4大学で美術史を学び、帰国後はヨーガンレール社に入社。以来、20年以上にわたりプレスを務める。
https://jurgenlehl.jp
季節ごと部屋の景色を変えて暮らしを楽しむ
職業柄、世界中のいいものに出合ってきた武さん。
自称「ファブリックオタク」というだけあって、3LDKのご自宅には20枚以上の絨毯やカバーがあり、季節ごとに模様替えを楽しんでいます。
「今の住まいは、もともと祖父母が暮らしていた築45年のマンション。下の階が実家ということもあり、4年前に家族で引っ越してきました。グレーのカーペットを隠したくて絨毯を敷き詰めるようにしています」
家族が集まるリビングを彩るのは、ソファーカバーとカーペット。
「犬と息子が寝転がるのでソファーには必ずカバーをかけています。ファブリックなら洗えるし、部屋の景色を簡単に変えられていい気分転換になりますよ」
手触りのいい天然素材のファブリックは愛犬のチャイちゃんのお気に入りの寝床に。
「赤と青のファブリックに惹かれるようで、主張のあるものが集まってきました。部屋全体がグレー系なのでいい挿し色になっています。
毎日同じ景色の部屋で過ごしているとどうしても飽きてきますが、ファブリックなら目に入る景色を簡単に変えられて、日々の暮らしが楽しくなりますよ」
夏は青で涼やかに、冬は赤でガラッと印象チェンジ
夏季はブルー系のファブリック。涼やかですっきりした印象です。
マルチカバーなどをまるっとチェンジ。ソファーにかけたマルチカバーやパイルテキスタイルは青も赤もババグーリのコレクション。
「どれも手紬や手織り、草木染めなど手仕事のもの。使い込むほどに味わいが増すのは、天然の素材ならでは」
ひとりで寛ぐスペースも夏と冬でイメージチェンジ
ソファーカバー、絨毯も質感と色を変えると気分も新鮮に。ソファーカバーもともにババグーリのもの。二色の布を重ね、上の布をくり抜き、細かく手縫いしたアップリケ生地で、インド北西部で作られた土着の技法によるもの。青い絨毯は古書にかかれた護符をヨーガン・レールが描きおこした柄で、目につくところに置いてお守りに。
節句や季節行事に合わせ玄関を飾り付け
ハロウィンやクリスマス、お正月、ひな祭りなど、行事や節句ごとに、頻繁に玄関の飾り付けをチェンジ。
「ベンチに季節の飾りを並べて楽しんでいます。今はXmas仕様に。窓にはミニツリーを並べています」。
ベンチはババグーリ、玄関マットはイケアで見つけた掘り出し物。
ベンチに置かれた木製のサンタクロースはドイツ製。
「お香を焚くとパイプから煙が出る作りで、ドイツの家庭では一般的に使われています。これは留学していた息子に頼んで買ってきてもらいました」
ダイニングには存在感のあるアンティーク家具
「ダイニングのテーブルや椅子、サイドボードは40年以上前に父が赴任先のフランスから持ち帰ったアンティーク。祖父母が使っていたものをこのマンションとともに受け継ぎました」。
ダイニングに敷いたギャベは、長男の出産祝いとして会社の上司からいただいたもの。
もともとはとても色鮮やかだったギャベ。
「24年経ってここまで落ち着いた色味になりました。長男に婿入り道具として持たせるつもりです」
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武さんに教わる〈模様替えのヒント〉
「一点モノの伝統工芸品とプチプラを上手にミックス」
赤と青の市松模様の絨毯はトルコのアンティークでヨーガン・レール氏が生前に懇意にしていた店舗で購入。
リビングや廊下のソファーはすべてイケア、ダイニングのペンダントライトはニトリのもの。
ペンダントライトはガラス製。「クラフト感のあるしっかりとした厚みのあるガラスで、ニトリで見つけて即決でした」。アンティーク家具との相性もぴったり。
「シンプルな家具やインテリアが見つかるのでニトリやイケアもチェックしています。オンラインではなく、必ず現物を見て選ぶようにしています」
撮影/松村隆史 文/坂口みずき
大人のおしゃれ手帖2024年12月号より抜粋
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