不安への対処法1:A子さんの行動
まず、A子さんについて。
「人の悪口、蜜の味」といわれます。この場合の悪口は、相手に直接言うものではありません。“告げ口”“陰口”の類です(直接言えるならアドバイスの一種でしょう)
悪口はおいしい蜜の味をしているかもしれませんが、それに夢中になれば暗い穴に落ちます。
釈迦の遺言ともいわれる『遺教経』に“わがまま”に関する一節があります。“わがまま”を告げ口、陰口に読み替えてみてください。
「蜜を探す人が蜂蜜ばかりに心が動けば、蜂蜜を取ることばかりに夢中になって、足元の深い穴に気付きません。わがままというのは、習慣性があって、なかなか直りません」
A子さんはこのままでは穴に落ちるでしょう。その穴は「いつか我が身が板挟みになる」という、彼女にとって、とても困った事態です。
仮に、コビトカバさんたちのLINEをグループ1、A子さんがつくっている別のLINEをグループ2としましょう。
今のところ、1と2のグループに接点はありませんが、A子さんは両方のグループに参加しています。2つのグループには接点がないので、A子さんは別のグループにいる人の悪口を言えます。
しかし、1と2のグループに接点ができたら、A子さんの立場はとても危うくなります。これが板挟み。双方にはさまれたA子さんは精神的に固まるか、ぺちゃんこになる可能性があります。
穴には、他にも「悪口を言っても“この人は観察眼がするどい”とは誰も思わない。悪口を言ったからといって自分が偉くなるわけではない。これらのことを、まだ知らないようだと呆れられる」という面もあります。
多くの人は、思春期にこうしたことを学び、告げ口や陰口を慎むようになりますが、A子さんは、告げ口、陰口が我が身に及ぼす弊害をこれから学ぶことになるのでしょう。
私としては、試練を受けるであろうA子さんにエールを送りたい気分です。
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不安への対処法2:自分も悪口を言われているのではないか
metamorworks / PIXTA
次に、コビトカバさんの不安についてです。
不安に思わなくても、悪口は必ず言われていますから安心(?)してください。人の口に戸は立てられません。
私たちは、人が持っている多くの側面のうち、一つの側面を見てその人を評価します(職場に対するA子さんの不満も同様です)。その評価も、言い方一つでほめ言葉にも悪口にもなります。
例えば
「頭がいい=あざとい=抜け目がない」
「やさしい=お人よし=おせっかい」
「臨機応変=いきあたりばったり」
「人当たりがいい=優柔不断=自分がない」
「おおらか=ちゃらんぽらん=いい加減」
などです。
この「一つの側面だけで評価する」「評価する人の善意や悪意によって、表現が変わる」ということをわかっていれば、悪口を言われても、大した問題ではありません。
コビトカバさんの全体を見ているわけではないし、悪意のある表現ならそれをプラスイメージに変換して受けとればいいのです。いちいち気にしなくてもいいのです。