任意継続と国民健康保険、どちらが安い?それぞれのメリットとデメリット


メリットとデメリット
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気になるのは、任意継続と国民健康保険はどう違うのか、保険料の負担が少ないのはどちらか、ではないでしょうか。ここではメリット・デメリットも合わせて紹介していきます。

まず、それぞれの違いですが、協会けんぽは、平成20年に国から引き継ぎ設立された公法人で、都道府県がそれぞれ保険料率を設定しています。主に中小企業で働く従業員が被保険者となりその家族も被扶養者として加入できます。

病院にかかった際の医療費負担が3割で済むなどの保障に加え、産前6週、産後8週の間に受け取れる「出産手当金」や、傷病で欠勤が4日以上続いたときに支給される「傷病手当金」の給付もあり、働く従業員を守る手厚い保障が揃っています。

一方で、国民健康保険は、「出産手当金」「傷病手当金」は基本的にありません。そうなると任意継続の保障内容が有利に感じますが、実は、任意継続ではこれらは保障されないため、この点は国民健康保険と同じになります。

なお、国民健康保険は、医療保険制度に加入していないすべての人が対象です。市区町村が窓口になります。別途、業種ごとに組織されている国民健康保険組合もあります。

それでは、任意継続と国民健康保険、それぞれのメリットは何でしょうか。
任意継続のメリットは、扶養親族がいても保険料が変わらないという点です。また、退職時の一連の流れで健康保険の手続きも合わせて行えるため仕事の引き継ぎでバタバタする時に助かります。

国民健康保険のメリットは、2年目に保険料が下がるという点です。国民健康保険は、前年の所得を基に保険料が決まるため、退職して収入が少なくなると、2年目の保険料は1年目より安くなります。さらに、非自発的失業者といって、会社の倒産やリストラによる場合は保険料が軽減されるようになっており、失業や倒産、災害などで保険料の納付が難しくなった時は保険料の減免を受けられることもあります。

次に、任意継続のデメリットは、これまで労使折半で払っていた保険料が全額自己負担となるため支払いが2倍となることや、国民健康保険のように保険料が途中で下がることはなく2年間同額ということです。また、減免や軽減措置もありません。

一方、国民健康保険は、任意継続と違い扶養という概念がないため、妻や子供を扶養しているという場合は、それぞれが健康保険に加入する必要があり、保険料が増えていきます。また、自身が時間を見つけて市区町村の窓口に出向き加入の手続きが必要な点もデメリットと言えるでしょう。

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年収別・扶養家族有無別でシミュレーション

任意継続と国民健康保険のどちらが安いかは、実は、収入や扶養の状況によって違います。以下でいくつかシミュレーションを紹介します。

ここでは、福岡県福岡市に居住、介護保険料がかからない40歳未満を例に比較していきます。任意継続の保険料は前述の通りですので、ここではまず国民健康保険料をみてみましょう。

〈福岡市 令和5年度国民健康保険料の保険料率〉 

出典/福岡市HP

(※注)算定基礎となる所得とは令和5年中(1月~12月)の総所得金額等から基礎控除(43万円)を除いた金額です。基礎控除額は、総所得金額等が2400万円以下の場合は43万円ですが、2400万円を超える場合は異なります

国民健康保険料は、図表のように、(1)医療分、(2)支援分(3)介護分と3つで構成されており、それぞれ(ア)所得割、(イ)均等割、(ウ)世帯割に分けて計算されます。また、任意継続では月の給与である標準報酬月額が基になりますが、国民健康保険では、前年の1年分の収入が基になるため、賞与を含めた年収から「算定基礎」という金額を出して計算を進めます。算定基礎の説明をすると複雑になるため、ここでは、福岡市が提供している試算シートを使って、試算します。

(試算シート)
福岡市HP 保険料の計算方法「国民健康保険料の試算について」よりダウンロード

例1) 標準報酬月額20万円(年収300万円・賞与含む)、扶養なし
任意継続保険料・・20,700円
国民健康保険料・・17,708円  ←安い
 
例2)標準報酬月額20万円(年収300万円・賞与含む)扶養あり(配偶者35歳・収入なし、子8歳)
任意継続保険料・・20,700円  ←安い
国民健康保険料・・20,775円
 
例3)標準報酬月額35万円(年収550万円・賞与含む)、扶養なし
任意継続保険料・・31,050円 ←安い
国民健康保険料・・33,325円 
 
例4) 標準報酬月額35万円(年収550万円・賞与含む)、扶養あり(配偶者35歳・収入なし、子8歳)
任意継続保険料・・31,050円 ←安い
国民健康保険料・・38,392円

試算では、年収300万円で扶養なしの場合は、国民健康保険が有利、それ以外は任意継続が有利ということになりました。ただ、賞与の有無や金額によっては国民健康保険の方が安くなる場合もありますので一概に言えません。また、給与や賞与以外の収入、例えば賃貸収入が別途あるという場合は、それも所得となり国民健康保険料に影響するため、やはり個別要因でどちらが得かは異なります。