スーパーの多くは夕方から閉店にかけて、さまざまな食品に「1割引」「3割引」などのシールを貼って値引き販売をしている。売れ残った商品は翌日朝、「半額」になることもある。こうした値引きの判断のもとになっているのは包装や容器に表示されている「消費期限」と「賞味期限」だ。
「消費期限」と「賞味期限」の違い
農林水産省によると、「消費期限」とは「安全に食べられる期限」のこと。弁当、サンドイッチ、生めん、ケーキなど、いたみやすい食品に表示されている。「消費期限」が切れたものを販売すると、食品衛生法上、問題があるとみなされ、行政から指導を受けることになる。
また、「賞味期限」とは「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のこと。スナック菓子、カップ麺、チーズ、缶詰、ペットボトル飲料など、消費期限に比べ、いたみにくい食品に表示されているが、賞味期限を過ぎても食べられなくなるわけではない。
スーパーは、いわゆる「生もの」の魚や肉、日持ちが短い野菜、総菜のほか、「消費期限」「賞味期限」が迫っている商品は早く売り切ってしまいたい。そのため、天候や客の入り具合、閉店までの残り時間などを考え、値引き率を決めていくという。夕方から値引きされやすいのは魚や肉、野菜、カットフルーツ、総菜類。また、翌日開店の朝一番で「半額」など高い値引き率のシールが貼られやすいのは、パンや牛乳、前日夕方に作った弁当などだという。
したがって、スーパーで大幅に値引きされていても、食品安全面の心配をする必要はない。ただし買ったあと、期限が切れる前に早めに食べるといった工夫は考えたい。
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値引品購入でSDGsにも貢献?
SDGs(国連で採択された「持続可能な開発目標」)により、世界で食品ロス削減が唱えられている。そうしたこともあり、「賞味期限切れ」とはっきり示して割安で食品を売るスーパーもあらわれ、農水省のホームページで紹介されるなど注目されている。
スーパーで値引きシールが貼られているのは、店側が「生もの」をはじめ、「消費期限」「賞味期限」が迫る商品を売りきりたいからだ。食品衛生法上、安全面の問題はない。また、消費者の財布にやさしいだけでなく、食品ロス削減に役立つという側面もある。
(ジャーナリスト 橋本聡)