2024年、反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。独自の視点で2024年を振り返る「ニュース」部門、第4位の記事はこちら!(集計期間は2024年1月~10月まで。初公開2024年3月23日 記事は取材時の状況) * * *
2022年6月に施行された「AV出演被害防止・救済法」(AV新法)の改正を求める「AV産業の適正化を考える会」が、3月16日に東京・渋谷および新宿の街頭にて、全裸監督でおなじみの村西とおる氏による「AV 新法改正『ナイスですね!』 演説イベント」を開催した。
同会では、街頭での署名活動やシンポジウム、さらにデモ行進などの活動を通じ、さまざまな形で政治家へ法改正の訴えを行ってきた。今回のイベントにも、発起人の二村ヒトシ氏をはじめ、「業界を崩壊の危機から救いたい」というセクシー女優やスタッフなどの業界関係者たちが集結。多くの人たちに法改正への理解や署名への協力を呼び掛けていた。
◆AVが地球上から無くなることのないように
街宣車に乗って永田町から新宿、渋谷を巡った後、渋谷某所にて演説イベントが行われた。「お待たせいたしました、お待たせしすぎたかもしれません」と、決め台詞で登場した村西氏。
いつもの口上で会場を沸かせながら、「セクシー女優の生き方、職業選択の自由を阻害するような法律を阻止したい」「AVがこの日本から、地球上から無くなることのないように」と、AV新法改正への支援を訴えた。
◆有名セクシー女優が渋谷に集合
演説イベントには、現役セクシー女優の佐々木咲和さん、綾瀬麻衣子さん、元セクシー女優の範田紗々さんも登壇。AV新法により仕事が減り、廃業するセクシー女優も多く存在している現状を語った。
デビュー13年のベテラン女優である佐々木咲和さんは「やめたくない」と涙を零し、熟女セクシー女優の綾瀬麻衣子さんも「もうひと花咲かせたい」とこれからも仕事を続けたい意思を示す。
村西氏は彼女たちの思いを代弁するかのように「(性産業者を)差別するなとは言っていません。貶めることはやめてください」と、力強く声を挙げていた。
◆現場の声が入っていない法律
イベント後の囲み取材では、女優陣がAV新法に対する率直な思いを吐露。綾瀬麻衣子さんは「AV新法の煽りを受けて若い子のデビューが減っていることを危惧しています。私たちも世間の皆様も気持ち良く活動できる業界になっていけたらと願います」と、業界の未来を案じた。
さらに、2006年にグラビアアイドルからセクシー女優に転身し、現在は引退してタレント活動をしている範田紗々さんも「引退作で『やめたくない』と泣いたほど好きだった業界なので、お世話になった人たちが困っているのを見て何とか力になりたいと駆けつけました。あと、この涙は芝居です(笑)」と、冗談を交えつつも涙ながらに語った。
佐々木咲和さんは「私はAV業界に入りたくて入って13年経ちます。私はこの業界が好きですし、ずっといたい」と、業界への深い愛を打ち明け、「AV新法には、私たちの声は何も入っていない。それでも、たかだか1か月半で出来てしまった法律を、2年間もきちんと守り続けた。見直しの機会がやっと来たんだから、声を挙げてもいいですよね?!」と、AV新法改正を願う強い気持ちを涙ながらに語っていた。
◆手のひらを返したかのように仕事がなくなった
2023年に選挙に出馬した経験のある吉川はすみんさんは、「AV新法は、できるプロセスがあまりにもおかしい。正直者が馬鹿を見る法律になってしまっている」と強く主張。
ヌードモデルとしても活動中の水谷星奈さんは「AVはアダルトだけでなくあらゆるマーケットにおいて影響力のあるコンテンツ。日本の文化の規制にも繋がる」と危惧していた。
フリーのセクシー女優である八ッ橋さい子さんは、「色んな自由を脅かす法律は許せない。表に立つ人間として発信し続けたい」と語り、ずっとAV業界に憧れていたという志田みずきさんは「AV女優になりたくて自ら志願したのに、業界が衰退に近づいていることが純粋に悲しい」とAVファンとしての立場からも語ってくれた。
さらに、フリー女優連盟の理事である三代目葵マリーさんは、事務所に入っていないフリーのセクシー女優が、AV新法によって苦境に立たされていることを告発。「AV新法が始まる前は、使いやすいキャストとして重宝されていたのに、今は手のひらを返したかのように仕事がなくなった。それっておかしくないですか?」と疑問を呈した。
◆セクシー女優たちの誇りを守りたい
最後に「AV産業の適正化を考える会」の発起人である二村ヒトシ氏は、「日本には体を張って表現しているセクシー女優たちの存在が必要。AVが世界に好まれているコンテンツであることは事実なので、女優たちの誇りを守りたいという気持ちです」と語った。
街頭署名活動は今後も各地で行われる予定だが、引き続きオンラインでも署名を募っていく。最終的には10万筆を目標としているという。
<取材・文・撮影/もちづき千代子>