あなたは「終の棲家」について考えたことがありますか?
この記事では「終の棲家」について、近年の需要や選択肢別のメリット・デメリット、おすすめの間取りや設備について解説します。
これから終の棲家を建てたい人や、親に建ててあげたいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。
終の棲家とは
「終の棲家」の意味
「終の棲家」の読み方は、「ついのすみか」です。
人生の最期を迎える場所のこと、つまり老後の生活を送る家や施設のことを指します。
「静かに暮らしたい」「安全に過ごしたい」など、老後の暮らしに求めるものは人それぞれですが、終の棲家にはこれらの希望を叶える間取りや設備が必要になります。
終の棲家の需要
終の棲家はセカンドハウスとして検討されるなど、近年その需要が高まっています。
主な理由は次の2つです。
① 今の家は老後の生活に不便
子育てには最適だった間取りでも、老後の生活では広すぎて持て余してしまいます。
また、バリアフリーではない場合も多く、老後の生活には危険です。
このため、終の棲家として安心安全で住みやすい家や施設を求める人が増えています。
② 子世帯・親世帯の近くで過ごしたい
子どもが住む家の近く、または親世帯の住む家の近くで生活したい場合に、セカンドハウスとして終の棲家を建てるのは有効です。
このような終の棲家への需要に対して、ハウスメーカーも力を入れています。
ハウスメーカーによっては、間取りをいくつかのパターンから選ぶ「セミオーダー」にすることで、金額的にも低く抑えながらセカンドハウスが建てられるプランを設けています。
【終の棲家】選択肢別のメリット・デメリット
終の棲家の選択肢は大きく分けて① 自宅(戸建て)② アパート・マンション③ 施設・病院の3つがあります。
ここでは、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
① 自宅(戸建て)
まず「自宅(戸建て)」を終の棲家とする場合です。
この場合、アパート・マンションや施設・病院に比べて広い生活空間で自由に過ごすことができます。上下階の音や人間関係で悩まされることもありません。
また、庭を設けられる点もメリットです。
「老後は自然に囲まれた生活をしたい」と考える人にとって、身近に自然を感じられる庭は欠かせないでしょう。
そのほか、家庭菜園が趣味の人にも嬉しいメリットです。
一方デメリットとして、間取りによって過ごしにくくなることが挙げられます。
老後を安心安全に暮らすための終の棲家を建てるためには、できるだけ負担や危険のない間取り・設備が重要です。中2階などの小上がりスペースをはじめ、階段などの段差は転倒・転落リスクが高まるため注意しましょう。
また、ドアは引き戸にして車いすとなった際に家の出入りをしやすくするなどの工夫も必要です。
② アパート・マンション
次に「アパート・マンション」です。
メリットとして、建物の維持管理について負担を減らせることが挙げられます。
自宅の場合、外壁の塗装や屋根の修理などへの対応が必要です。業者に修理を頼んだり、軽微な補修であれば自分で直すことも考えられます。
一方でアパート・マンションの場合、同様の対応が必要になれば管理会社が対応してくれます。これは、できる限り負担を減らしたい老後の生活では大きなメリットです。また、自宅では叶わないような好立地で生活することも可能になります。買い物や通院などの利便性も高まるでしょう。
デメリットは、生活空間が自宅に比べて狭いことです。上下階など近隣の生活音がストレスになる場合もあります。
③ 施設・病院
最後に「施設・病院」です。
メリットは見守りが充実していることです。施設・病院ともに職員による巡回や介護を受けられるため、自宅やアパート・マンションに比べて安心安全な生活を送ることができます。
一方で、人間関係や自由度の低い生活環境がストレスになる場合があることがデメリットといえるでしょう。
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【終の棲家】間取りの工夫5選
住みやすい終の棲家にするためには、間取りの工夫が重要です。
ここでは、間取りの工夫を5つご紹介します。
①平屋にする
終の棲家は平屋にすることをおすすめします。
老後の生活では、転倒・転落などによる怪我のリスクを極力減らすためにも、2階は設けずに1階部分だけで生活できる平屋を選びましょう。
②廊下を設けない
廊下を設けないことも取り入れたい工夫の1つです。
たとえば、玄関からリビングまでの廊下を設けないことで、車イスの転回が容易になります。
自力歩行の場合でも、歩く距離が短くなり負担が少なくなるでしょう。
また、廊下を設けないことで家全体の面積を小さくすることができ、建築費用を抑えることも可能です。廊下がない分居住スペースを広げられる点も、うれしいポイントです。
③トイレを2つ設ける
終の棲家にはトイレを2つ設けましょう。
具体的には、日中多くの時間を過ごすリビングに1つと、もう1つは寝室近くがおすすめです。
高齢になるとどうしてもトイレにいく回数が増え、1回の時間も長くなります。
このため、トイレが2つあることは生活する人だけでなく介護する人から見てもメリットの大きい工夫です。
④母屋や玄関に近い寝室
終の棲家を建てる際、子世帯の家(母屋)のとなりに建てるケースが考えられます。
寝室を母屋から近い位置に設けることで、母屋からの目が行き届き、緊急時にもすぐに対応しやすくなるでしょう。
母屋がなく単独で建てる場合でも、玄関近くに寝室を設けるとよいでしょう。
玄関近くに寝室があれば、人の出入りを感じたり窓辺で会話したりすることが可能です。
終の棲家には「孤立しない」工夫が重要になります。
⑤家事動線に配慮した間取りにする
家事動線を工夫することで、負担が少ない終の棲家にすることができます。
特にキッチンや洗濯機、浴室の間取りは重要です。
これらの位置を近くすることで効率的な家事動線を確保でき負担が軽くなります。