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2024年12月10日、特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)が、株式会社ハニーズホールディングス(ハニーズHD)のミャンマー子会社ハニーズ・ガーメント・インダストリー・リミテッド(HGIL)の人権侵害を指摘しました。

【動画】記者会見で問題視されたハニーズ海外子会社の人権侵害問題

ハニーズ海外子会社が労働問題

HRNの声明によれば、HGILでは労働者に対して過度な生産ノルマが設定され、労働組合活動への妨害行為が行われていたとされています。

具体的には、縫製工員に対して「1日400着の生産目標が600着に引き上げられた」との報告がありました。

HRNはこれを労働者の健康を損なう強制労働と捉え、国際労働機関(ILO)が定めた規約への違反の可能性があると指摘しています。

HRNによると、これに対してハニーズHDは反論し、生産目標の設定は各工員の熟練度や製品の縫製難易度を考慮したものであり、「生産ノルマ」という形で一律に課されたものではないと説明しました。

また、目標未達でも減給や降格といった懲罰的措置は講じていないと述べています。

ドー・ミョーミョーエー氏は、Solidarity of Trade Union Myanmarのディレクターであり、HGIL工場の労働環境の改善を求める活動を続けてきました。

それに対しHGILは、彼女が労働者を扇動し工場の生産活動を妨害したとして、1,882,231,750チャット(約1億円)の損害賠償を求める訴訟を提起しています。

HGILは、労働者がストライキや抗議活動に参加し、結果的に366名が解雇されたと報告。

HGILの訴状によると、解雇された労働者は職場規則に違反し、労働調停の結果として解雇されたとされていますが、HRNはこれを不当解雇であると主張しています。

また、訴訟の中では、ドー・ミョーミョーエー氏がSNSなどを通じて労働者を扇動し、工場の評判を著しく傷つけたとする証拠が提出されました。

2024年12月17日、ハニーズHDはこの訴訟の長期化と解決の見通しが立たないことを理由に、提訴の取り下げを決定したのでした。

しかしHRNはこれに対し、単なる訴訟の取り下げだけでは不十分であり、解雇された労働者への補償や工場内での人権侵害の是正措置が必要であると主張しています。

ハニーズHDは「必要に応じて対応する」との立場を示しているとのことです。

この問題は、日本企業が海外で事業を行う際に直面する労働問題の一例として注目されています。