美食の街としての地位を強力な新店が押し上げ、港区の中心部にある「麻布十番」は、中心に活気ある商店街がある賑やかな街。大使館が立ち並び、下町情緒を残しつつも、外国人が闊歩するグローバルな空気もある。
食に関しては、常に感度の高い人が集まる美食の街としての地位は揺るぎない。2024年の麻布十番にはそれをさらに高めるような新店が続々と誕生した。
東カレ的大人の遊び場と言える街「麻布十番」の2024年を改めて振り返ってみた。
東カレは“麻布十番”の秘められた美食を発掘してきた!
2014年はお忍びで行く街として紹介し、2016年では庶民的な酒場もある“港区の下町”の魅力をクローズアップ。
2018年は食偏差値の高さに注目し、コロナ禍を経た2023年はアッパーな街は健在であると力説した。
美食の街としての地位を強力な新店が押し上げ
2023年11月に開店した『鮨 あらい』出身の幸後綿衣さんによる『鮨 めい乃』は、独立した年初から感度の高い大人たちの話題を集めた。
7月に開店した焼き鳥『新まき』の荒巻将司さんも名店『銀座小十』出身。両店舗は出自の確かな店主による高級感のある店という共通点もあり、すぐに予約困難店となった。
『新まき』/7月17日OPEN
東麻布に登場した、日本料理のコースのように焼き鳥が楽しめる『新まき』。
大将の荒巻将司さんは銀座の老舗焼き鳥店や神谷町の人気店などで腕を磨いた。
八寸から始まる美しくオリジナリティ溢れるおまかせコース(¥12,000~)が堪能できる。
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当然ながら、港区界隈の美食家たちが放っておくわけもなく、こぞって麻布十番を訪れる傾向が強化されていった。
麻布十番を拠点にする不動産会社・メトリーモの三好洋史さんは「21時頃の麻布十番には、運転手付きのクルマが多く止まっていて、年々多くなっていると思います」と語る。
『MIXTEKO TOKYO』のオーナーのカルロス・ソラナさんと森永 道さんは「ご近所のお客様が来られることが最も多いですが、同時に食への好奇心が強いフーディーなお客様も同じくらい多いです」と話し、麻布十番が美食の街として加速していることを裏付けていた。
『MIXTEKO TOKYO』/3月1日OPEN
麻布十番の密やかなロケーションにオープンした最先端メキシカン。
メキシコ出身のカルロスさんはカリフォルニアのナパ・ヴァレーで10年キャリアを積み、来日。
メキシコの沿岸部でポピュラーな魚介料理を日本の素材で表現し、洗練されたコースとして提供している。
都市開発により三田が、アッパーな住宅地へと変革
麻布十番には今後、大規模な都市開発が計画されている。街の景色が一変するほどのインパクトをもたらすのが、麻布十番の東にある、商店街とは逆側の三田エリアの開発。
2025年に竣工予定なのが「三田ガーデンヒルズ」。あの「広尾ガーデンヒルズ」と同じ名前のプロジェクトだけに注目度が高い。
また、麻布十番駅の南東側の三田一丁目は「三田小山町西地区再開発」として2024年度に着工し、ゆくゆくは住宅、オフィス、店舗からなる3棟の高層複合施設が完成する。
「これができると、東側にある『パークコート麻布十番ザ・タワー』、『シティタワー麻布十番』と共に、新たな麻布十番の住宅地のシンボルとなります」とは三好さん。
これまで三田一丁目は細分化された古い住宅地だっただけに、エリアの再開発は麻布十番の住宅地をより洗練した印象にすることは間違いない。
元々住宅地としての人気が高い麻布十番の注目度が年々高まっており、今年は「虎ノ門ヒルズステーションタワー」と「麻布台ヒルズ」の開業によって、そこで働くワーカーが住まいを求める街としても人気が高まっている。
「麻布十番は商店街の他、質の高い食品を扱うスーパーが充実しているため、港区の中でも“住む街”として魅力的に映っています」と三好さん。
三田以外では、鳥居坂周辺も「六本木五丁目西地区再開発」として2025年度の着工が見込まれている。
情緒ある商店街は存在感を発揮しつつ、さらに洗練された住宅街の顔へと変革していく麻布十番からは目が離せない。
十番に住んで早1年。グルカレ担当・葉山が深夜の十番をレポート!
多様な餃子を泡と楽しむ『Gyoza Bar Chaozu!』。
十番らしくシャンパンは常時グラスで8種ほどそろい、リーズナブルな価格で楽しめる。
週末は深夜3時まで営業し、遅い時間でもご飯にありつけるのが嬉しい。
真夜中の十番は洗練された大人たちで賑わっていた。
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