あなたは「サードプレイス(第三の場所)」持っていますか? 自宅でも職場でもなく、自分らしくいられる「居心地のいい場所」のこと。

就職情報サイトのマイナビ(東京都千代田区)が2024年12月19日に発表した「正社員の『サードプレイス』と『働くモチベーション』に関する調査」によると、正社員の5人に1人がサードプレイスを持っており、働くモチベーションが高いという。

サードプレイスはどうすれば見つかるか、また、持っていない人はどうすればいいのか。調査をまとめたマイナビの朝比奈あかりさんに聞いた。

趣味の場、コーヒー専門店、図書館、行きつけの飲み屋、ランニングコース…

マイナビの調査(2024年11月15日~18日)は、全国20~59歳の正社員男女3000人が対象。サードプレイスとは、具体的には「カフェ」や「趣味の集まり」など、自宅と職場以外で自分らしくいられる場所を指す。

サードプレイスを持っているかを聞くと、約5人に1人(19.3%)が「持っている」と回答。

そのうち、サードプレイスと呼べる場所が2つ以上ある人も3割近くいた【図表1】。

自由回答で聞いた結果が【図表2】だ。「音楽でつながった人たちとの輪」「小学校の同級生が始めたコーヒー専門店」「ランニングコース」「バイクで走るすべての場所」「体を鍛えるスポーツジム」「気になる1冊を選ぶ市営図書館」など【図表2】。

サードプレイスの特徴は、「1人の時間を過ごす」もしくは「他者とのコミュニケーションがある」、そして「場所が固定されている」もしくは「やることが固定されている」の4つに分けられた。

サードプレイスの有無別に、キャリアについての考えを聞くと、「働くモチベーションが高い」「自分のキャリアを自分で作り上げている実感がある」「困難な仕事でもできる自信がある」の3つで、いずれも持っている人」持っていない人より約20ポイント高かった【図表3】。

また、「自分自身への理解度」で約26ポイント、「仕事と私生活の満足度」でも約15ポイント高い傾向がみられた。こうした結果から、サードプレイスを持つ人は、仕事と私生活の両方で充実していることがわかる。

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利害関係のない純粋な交流が、リフレッシュとストレス軽減に

J‐CASTニュースBiz編集部は、リポートをまとめたマイナビのキャリアリサーチラボ研究員の朝比奈あかりさんに話を聞いた。

――サードプレイスは、最近よく耳にする言葉ですが、特にビジネスの場で注目されるようになった背景には何がありますか。

朝比奈あかりさん サードプレイスは、アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグによって1980年代に提唱された概念です。

自宅(ファーストプレイス)や職場(セカンドプレイス)とは異なる、リラックスできる居心地のよい場所を指します。それを持つことで、地域コミュニティーの活性化や社会的なつながりの強化が期待されるため、数十年後の現在も注目されている概念です。

現在、働く人に注目を集めている理由に、コロナ禍による働き方の変化が挙げられます。リモートワークが普及し、自宅と職場の境界があいまいになりました。重要性が再認識され、リラックスできる場所や新たな交流の場としての需要が高まっています。

仕事や生活のストレスが増加している今、ビジネスパーソンにとっては、利害関係のない純粋な交流がリフレッシュとストレス軽減につながります。ワークライフバランスの重要性が認識されるなかで、サードプレイスでの活動が、仕事の効率を高めるだけでなく、私生活の満足度も向上させると期待されています。

――リポートの具体的例を見ると、趣味の場、サークル仲間、公民館といったごく当たり前の場所・人間関係の印象がありますが、ほかにどんなケースがあるのでしょうか。

朝比奈あかりさん いくつかご紹介しますと――。
「地元の個人経営の飲み屋で、利害関係が全くない常連とコミュニケーションを取れる場所」(50代男性/IT・通信関連企業)
「ボランティア活動で、人とのつながりを深め、社会に溶け込める場所(30代女性/金融・保険関連企業)
「アカペラを続けているコミュニティーで定期的に活動している」(20代男性/メーカー勤務)
などがあります。