東カレで幾度となく特集をし、その変遷を間近で見つめてきた「神楽坂」。
東カレ的大人の遊び場と言える街の2024年を振り返ってみた。
東カレは“神楽坂”を大人の隠れ家として注目してきた
2018年は、社会人10年目に神楽坂で大人の階段を上るべく、石畳沿いの隠れ家を紹介。
2023年は大人として成熟するなら、六本木や銀座の他に神楽坂という切り札が必要と提案し、和食&フレンチを取材。
目新しさを求めて、インバウンド客が神楽坂へ
路地の石畳に花街の情緒を残す神楽坂は、大人として覚えておきたい街。
東カレでは2018年から神楽坂の魅力を訴求して人気を集めてきた。今年は街の魅力に引き寄せられた外国人観光客がメインストリートである神楽坂通りで賑わいを見せた。
神楽坂では季節ごとに「神楽坂夏祭り」や年2回の「青空フェスタ」など年間を通して祭りが頻繁に開催されている。10月中旬に実施された「神楽坂化け猫フェスティバル」には多くの外国人観光客が猫をテーマに仮装し、練り歩く様子がニュースで取り上げられた。
神楽坂商店街振興組合の横倉泰信さんによると、こうした外国人観光客は国籍に偏りはなく、入り交ざっているという。
銀座や浅草といった東京のメインの観光地ではなく、神楽坂が注目されている理由について「SNSの発達により、個人でいち早く目新しい所を発掘しようとしているのではないでしょうか」と横倉さん。
観光客の姿は神楽坂通りや石畳の他、よりディープなエリアである赤城神社の裏側でも見られるという。
赤城神社の裏手である江戸川橋方面や牛込方面の“神楽坂の深部”は、2024年の神楽坂の食シーンを語る上でも欠かせない。
岡山の人気ピッツェリアが3月に『400℃ PIZZA TOKYO』として牛込にオープンした。神楽坂で開店した東京店は連日行列ができるほど。
「昔の良き面影を残しながら、徐々に新しいものがMIXされていく街並みに、自分のピッツァとの親和性を感じました」と店主の河本昌樹さん。
『400℃ PIZZA TOKYO』/3月19日OPEN
某レストランサイトで全国1位を獲得した岡山のピザ店が神楽坂に登場。
河本さんは東京ではガスを熱源とすることに挑戦。
高加水の生地は仕込みに4日をかけ、絶妙の設定温度で焼き上げ。
一見いびつな生地を口に運ぶと、ピザの概念が吹き飛ぶ感動の“エアリーもっちり”の食感に出合える。
◆
6月に赤城神社近くに誕生した『Scaglia』は新宿三丁目の名店『イルラート』の姉妹店。
シェフの石川 敦さんはイタリアや『アロマフレスカ』でも修業経験がある期待の星だ。
『Scaglia』/6月14日OPEN
料理を担当する石川シェフと、パティシエの石井 亮さんの30代ふたりがタッグを組んでメニューを考案。
「枠にとらわれない自由な発想」で精緻かつ美的なコースを表現。
食べて飲んでドルチェまで1万円台で満たされる上質な美食体験が叶う。
すべてコース(¥13,200)の一例。
◆
7月に牛込方面にオープンしたベーカリー『factory 1902』は、1902年創業の上板橋『三興のパン』の5代目が新しいコンセプトで作った新店だ。
いまこの街には多様な店が集結しているのだ。
メインストリートの奥に次世代の名店が続々誕生
新店を見ると、実力を備えた“次世代の名店”とも言うべき店がこの街に引き寄せられているのが分かる。
神楽坂通りなどの大通り沿いは新たな物件が出づらいため、その周辺エリアへの出店となるが、逆にそれが街の魅力を底上げしブランド力の強化に発展。「神楽坂に行けば、“良い店”に出会えるかも」という空気を醸成している。
神楽坂ブランドの広がりは、実は飲食店だけに留まらない。
「いま、江戸川橋方面には、新しくマンションが建ち並んでいます。神楽坂ブランドが強いことで、江戸川橋駅に近くても建物名は神楽坂がつくなんてことも」と横倉さん。
2024年4月に開業した『ENOTERA』の藤森太一さんも「子育て世代が多くなってきている」と証言。30代の高所得世帯も街に引き寄せられているのだ。
振り返ると神楽坂の街は、古さのなかに新しさを取り入れて発展してきた歴史がある。
神楽坂通りの商店街の街灯は来年からリニューアルするそうだ。少しずつ新しい顔をのぞかせてくれる神楽坂に2025年も期待したい。
神楽坂を愛して9年。編集部・嵩倉が最新の街の空気をバーからお届け
今春、“牛込”に誕生した『ENOTERA』の前を通ると、いつも常連がワイン片手に談笑している。
15時~ゆえ何度ここで仕事しようと思ったことか!
この日はピエモンテの泡と〆鯖の冷菜で。
隣の男性客は奥さまを電話で呼び出し乾杯……ん~神楽坂って素敵♡
▶このほか:東カレ新米編集部員2人が、麻布台ヒルズへ!インスタ映えグルメに思わず…