今年は12月27日が仕事納めという人も多いだろう。
28日からはいよいよ、“奇跡の9連休”とも呼ばれる年末年始が始まり、一気に新年のお祝いムードに突入…といった空気感も漂う。だが、実は12月27日も“特別な一日”であることにお気づきだろうか。
カレンダーを見ると、月末金曜となっている。つまり、今年最後のプレミアムフライデーなのだ。
2017年からスタート、消費喚起と働き方改革がテーマ
プレミアムフライデーとは、2017年2月24日から開始された取り組み。
主に月末金曜を対象とし、定時よりも早い時間で帰宅し、豊かな週末を過ごす、といった趣旨で導入されたものだ。
長時間勤務を解消するとともに、賛同する企業や団体が、期間限定メニューの販売やイベントの開催など、関連する商品やサービスを提供することが盛り込まれており、経済産業省のHPでは「消費喚起やライフスタイルの変革に繋げていくことを目的とした取組」と紹介されている。
導入が開始された2017年は、「働き方改革」が話題になっていた時期で、世耕弘成経産相(当時)は導入直前の同年2月15日、国会で次のように答弁していた。
「今月始まるプレミアムフライデーも一つのきっかけとしつつ、長時間労働を是正し、生産性を高めた働き手の能力が十分に発揮されるよう、産業界の実態を踏まえて改革を進めます」
9割の認知率も、現在はサイト閉鎖
ただ、その後プレミアムフライデーが「定着した」とは言い難いのが現状だろう。
経産省が公開しているパンフレットによると、開始から1年後の2018年にはプレミアムフライデーの認知度は約9割に到達。
その施策に賛同する企業や団体などが使用する「統一ロゴマーク」の申請件数も8211件にまで増加していた。
また、同パンフレットでは、消費喚起に成功した企業の例として「プレミアムフライデーは売上が平均20%増加」といった声を紹介。働き方改革の側面でも、「早期退社により残業時間の10%を削減した」などの例を示している。
しかし、2019年には、世耕経産相(当時)が、プレミアムフライデーの実績について、以下のように発言。
「もう二年以上取り組みをやっていて、認知度は9割を超えてきているが、プレミアムフライデーに仕事を早く切り上げて帰っている人の率は、まだ非常に低い状況だ。これからもしつこく取り組み、いろんな知恵を出してやっていかなければならない」
さらに、その後の2020年にコロナ禍が始まると、緊急事態宣言や、まん延防止措置などの発令もあいまって、プレミアムフライデーに関するさまざまなキャンペーンを打ち出していた外食産業や旅行産業などが打撃を受けた。
そして、コロナ禍が収束し、新型コロナ感染症の5類移行によって、行動制限などが撤廃された2023年6月には、それまでプレミアムフライデーに関するさまざまな情報発信を続けてきた「プレミアムフライデー推進協議会」のサイトが閉鎖。これが経産省のHPで発表されたのは8月だった。
「現在もロゴマーク申請受付、HPで随時更新」
プレミアムフライデーの取り組みは、サイトの閉鎖とともに“終了”してしまったのだろうか。
経産省の担当者は「現在も経産省のHPで、プレミアムフライデーに関する情報発信を行っている」として、次のようにコメントした。
「特段、何か調査などをしているわけではないので、企業における早期退社の取組率や、イベントの開催状況など、具体的に現在どのような取り組みが行われているのかについては、われわれも把握ができていません。
ですが、経産省としては、現在も引き続きロゴマークの使用に必要な申請の受付などの取り組みを実施しています。
ロゴマークの申請をいただいている企業や団体も実際にありますので、そういったところではプレミアムフライデーの取り組みが行われているのではないかと認識しています。
また、ロゴマークの承認状況については、ホームページ上に掲載しており、今後も随時更新していく予定です」
なお、担当者はプレミアムフライデーの取り組みは「月末金曜」に限ったものではないと念を押す。
「あくまでも例として、『月末の金曜に取り組んでみてはいかがでしょうか』と周知しています。
月末の金曜に限らず、どこかのタイミングで少し早めに仕事を終え、普段の平日では取り組みにくいことをするのに活用していただくということが本来の目的です」(経産省担当者)
来年1月のプレミアムフライデーは、暦上は1月31日。この日にとらわれず、どこかのタイミングで早上がりやプレミアムな体験ができると良いのだが…。