男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「冬のデートで、これはNG」マッチング後、六本木で初デート。女が32歳男に幻滅したワケ
楽しい旅行のはずだった。
金曜一日だけお互い有休を取り、2泊3日で行ってきた軽井沢。ホテルも良くて食事も美味しくて、全部が素敵な思い出となった。
でも、彼氏の玲央は違ったのだろうか。
旅行から帰ってきて、1週間ほど会えていない。連絡をしても、返信が返ってきたのは3日後…。
そんな不安になっているタイミングで、ちょうど今、玲央から一通のLINEが来た。
「ごめん、二人の関係を考え直したい」と…。
Q1:男が最初から少し不安視していた点は?
玲央とはこの夏に友人の紹介で知り合い、交際が始まったのは今年の秋だった。
31歳で商社マンの玲央。優しくて将来性もあって、しっかり稼いでもいる。大手とはいえ日系メーカーで広報をしている28歳私からすると、最高な彼氏だ。
交際3ヶ月目の幸せ絶頂のタイミングで「年末の休み、せっかくだから近場で温泉旅行にでも行く?」という話がキッカケで、旅行に行くことになった。
「咲希はどこか行きたい場所とかある?」
「温泉と言えば箱根だよね!どうしようかな〜」
計画の段階から楽しみすぎた。きっと玲央のことだから、すごい宿を予約してくれるに違いない。
「箱根もいいけど、軽井沢とかは?泊まりたいホテルがあって」
インスタで見て素敵だなと思い、保存していたホテルがある。
各部屋に温泉水が流れるお風呂が付いているようなハイエンドなそのホテルに、いつか彼氏と一緒に行くのが私の目標でもあった。
「ここはどうかな?1泊8万くらいだから行けそうじゃない?」
そう言いながら玲央にサイトを見せてみる。すると玲央も興味津々のようで、目を輝かせた。
「いいじゃん、ここ。でも2泊するの?1泊でよくない?」
「移動するのも大変だし、せっかく年末にお休みが取れたんだから、のんびりしようよ」
1泊でもいいけれど、せっかくだったらゆっくりしたい。
「OK。どうする?一旦俺のほうで予約しておく?」
「うん、お願いします♡」
こうして、私たちは軽井沢へ2泊3日で行くことになった。
車を持っていないので、私たちは東京駅から新幹線で向かう。しかしここで、玲央は意外な行動を取ってきた。
「咲希、新幹線代は各自でね」
そこも払ってくれるのかと思っていただけに、少し驚く。
― 前の彼氏は全部払ってくれたのにな…。
そう思ったけれど、商社マンとはいえサラリーマンだ。仕方ないと思うし、これくらいは未来への先行投資だろう。
だから私は言われた通りに自分で切符を買い、二人で新幹線へ乗り込んで軽井沢へと向かった。
「着いた〜!!」
軽井沢の駅に降り立った瞬間から、もう空気が違う。凛とした、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んでみる。雄大な浅間山に、青空のコントラスト…。
すべてが美しくて、私のテンションは上がる。
「玲央、やっぱり軽井沢にして良かったね!」
「そうだね〜。久しぶりに来たけど、やっぱり良いよね」
そして駅前でタクシーへ乗り込み、ホテルへと向かう。ホテルは想像以上に素敵で、もう幸せな気持ちはMAXだ。
「玲央、ありがとう♡こんな素敵なホテル、幸せすぎる〜!」
「良かった良かった。夜ごはんも楽しみだね」
チェックイン後、早速荷物を部屋に広げ、少しくつろぐ。お風呂付きの部屋は最高で、ここに一生いられるような気がするほどだった。
しかし早速洗面台に広げた化粧品やコテを見て、玲央が笑っている。
「咲希、荷物多くない?(笑)」
「そう?色々とこっちは準備もあるし」
「女性って大変だね」
「まあね。準備するから、ちょっと待ってて」
私が着替えたりメイクを直している間、玲央はもう一度お風呂に入ったりしていた。
それでもディナーまでまだ時間があったので軽く外を散策し、美味しいディナーも満喫し、まずは最高の1日となった。
Q2:男が彼女と別れを決意した理由は?
そして楽しくて幸せな1泊目を終え、美しい絶景と共に目覚められた朝。ホテルの朝ごはんものんびり食べられ、これ以上にない最高な朝だったと思う。
「幸せだな〜」
朝ごはんを食べながら、思わずそう呟く私に笑顔で頷く玲央。
「咲希って、結構旅行好き?」
「うん、大好き。玲央は?」
「僕も好きだよ。出張じゃなくてプライベートで海外行くのも好きだし」
そこから、お互い行った国や場所などを話し合う。
お互いの家を行き来はしているものの、こんなにも長くずっと一緒にいるのは、初めてだった。
「今日どうする?レンタカーしようか。咲希の準備は、どれくらい時間かかりそう」
「うーん、1時間くらい?」
「わかった」
こうして出かける準備を終えて、2日目は玲央が手配してくれた車で観光をすることにした。ただ15時くらいからはアウトレットへ行ったりしていると、あっという間に時間が過ぎていく。
「咲希、そんな買うの?」
「だって、すごく安くなっているし。玲央は買わないの?」
「どうしようかなー。ダウンでも見ようかな」
一緒に買い物をしてご飯を食べて泊まって…。時間が全然足りない。
そして何より「本当に好き」と思ったのが、これだけ一緒にいても、玲央の嫌な点が何も見えてこないことだった。
「玲央、本当にありがとう。予約も全部してくれて」
2日目のディナーでも、改めて私はお礼を言う。お礼を言うのは必須だし、ちゃんと「ありがとう」を言えるのがいい女というもの。
「喜んでもらえて良かった。2泊、意外にすぐだったね」
「だよね!楽しかったね」
2日間とも、玲央が予約してくれていたのは美味しくておしゃれなレストランで、さすがだなと思わず唸ってしまう。
「玲央って、軽井沢詳しいんだね」
「昔、家族とよく来ていてさ」
「そうなんだ。さすが。何から何までありがとう」
スペックが高いだけではなく、育ちまで良いときた。
― このまま進んだら、結婚だよね…?
そんな未来まで想像して、私たちの楽しい夜はふけていった。
そして迎えた3日目。
チェックアウトを終えて、最後にランチをして帰ることになった私たち。でもここで、私は考えた。
地元の美味しいお蕎麦屋さんへ行ったのだが、お会計の際、私はさっとお財布を出して率先して支払うことにした。
「ここは私が出すよ」
「いいの?」
「もちろん!他全部出してもらっているし、これくらいは」
旅行の際、すべてを奢られる女子は、きっとNGだろう。新幹線代も出したし、このランチ代もちゃんと支払った。
「じゃあお言葉に甘えて。ありがとう、ご馳走さまです」
「いえいえ、こちらこそ」
こうして私たちの楽しい2泊3日の旅行は幕を閉じた。
帰りの新幹線の車中でも普通だったし、何より旅行中、とても楽しかった。ずっと話していたし、もちろん喧嘩もしていない。
それなのに、どうして旅行から帰ってきた途端にダメになってしまったのだろうか…。
▶前回:「冬のデートで、これはNG」マッチング後、六本木で初デート。女が32歳男に幻滅したワケ
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:12月29日 日曜更新予定
男が旅行中に女に抱いていた感情は?