高速道路渋滞予想“242回発生”の見込み「冬場の運転」のポイントは? 車のエンジンルーム内“動物”が入り込むケースにも注意を

毎年恒例の年末年始の渋滞。昨年度(12月28日~1月4日)は、全国の高速道路で10km以上の渋滞が144回確認され、川越IC付近では期間中最長となる43.2kmの渋滞が発生した。

NEXCO東日本など高速道路各社が発表した予測によると、本年度は10km以上の渋滞が242回発生する見込みであるといい、各社は渋滞緩和のため、分散利用を呼びかけている。

事故につながる渋滞、避けるためには?

NEXCO東日本によると、「交通混雑期は通常期と比べて事故件数が2〜3割程度増加する傾向にある」という。担当者は、渋滞緩和のためにドライバーができることとして、次の3点をアドバイスする。

・上り坂での速度低下に注意する


・車間距離をつめ過ぎない


・むやみな車線変更は控える



高速道路の渋滞で「3割増」“事故発生リスク”を避ける運転マニュアル

また高速道路各社では、ドライブトラフィック(NEXCO東日本)や、渋滞予測ガイド(NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本)など、渋滞に関する情報を発信。高速道路を利用する前に、これらも参考にするとよいだろう。

目的の出口を通り過ぎてしまったら…

さらに近年、注目されているのが、高速道路における「逆走車」の問題だ。NEXCO東日本の担当者も、高速道路での逆走事案が「2日に1回」のペースで発生しているとして、事故防止のため、次のことを徹底してほしいと呼びかけた。

「逆走は命にかかわる危険な行為です。高速道路上でのUターン、バックは絶対に避け、目的の出口を通り過ぎた場合は、次のインターチェンジの一般レーンで料金所スタッフにお申し出ください。

また、逆走情報を見聞きしたら速度を落とし、十分な車間距離をとって前方車両の動向を注視するようにしてほしいです。


NEXCO東日本のHP

では、逆走が発生しやすい場所や、逆走をしてしまった・発見した場合の注意事項を、動画でわかりやすく解説しています。ぜひ一度ご覧になって、万が一に備えていただければと思います」

運転前に確認すべき注意事項とは?

年末年始のドライブ時に注意すべきポイントはほかにもある。

気象庁が12月5日に発表した予報によると、年末年始の期間、北日本から西日本までの日本海側では、平年と同様、雪の降る日が多い見込みだ。

JAF(日本自動車連盟)東京支部の広報担当者は、以下のようにコメントする。

「降雪地域へのドライブに出掛ける際は、あらかじめ規制箇所をチェックするとともに、スタッドレスタイヤの装着はもちろんのこと、タイヤチェーンも合わせてご準備ください。

スタッドレスタイヤを装着していても、タイヤチェーンをしていない車はタイヤチェーン規制の区間を通行することができません。

『午前中は晴れていたのに、午後は雪に…』といったこともあるため、注意が必要です。タイヤチェーンの取り付けに慣れていない方は、事前に取り付け方法を確認してください」

また、エンジンを始動する前にも注意が必要だ。

「動物が、車のエンジンルームに入り込んだトラブルも報告されています。

たとえば、猫は暖かい場所や狭い場所を好むため、エンジンルームに入り込んでしまうことがあります。

このような状態で車のエンジンをかけてしまうと、動物がエンジンベルトなどに巻き込まれる場合があり、動物の命が危険にさらされるのはもちろん、車の故障(ベルトの切れや外れなど)にもつながります。

乗車の前にはボンネットなどエンジンルーム付近をやさしくたたき、乗車後はエンジンをかける前に数秒静止し、猫などの動物の気配がしないか確認してください。

なお、猫がエンジンルーム内に入り込むトラブルは、冬場に限らず1年を通して救援要請があります」(JAF・担当者)

夏場に酷使したバッテリー、冬場にトラブル起こす可能性

また、JAFの担当者は「冬場もバッテリー上がりに注意が必要」だと話す。実際、JAFが公表している、昨年度の年末年始期間(12月29日~1月9日)のロードサービス出動件数の統計を見ると、出動理由として圧倒的に多かったのは「過放電バッテリー」となっている。

「JAFロードサービス 主な出動理由TOP10 2023年
年末年始『四輪・⼆輪合計』」より

「今年は特に残暑が続いた印象がありますが、夏場にエアコンなどの使用でバッテリーを酷使すると、冬場にトラブルを起こす可能性があります。

バッテリーの寿命は、一般的に2~3年と言われていますが、状況によっては交換時期が早まる可能性もありますので、破損・劣化がないか定期的に点検しましょう」(JAF・担当者)

久しぶりの運転なら…

年末年始の期間中は、普段運転し慣れない人も、帰省やおでかけで久しぶりに車に乗ったり、高速道路を利用したりする機会があるかもしれない。前出したJAFの担当者は、そのようなドライバーに対して、こうアドバイスする。

「しばらく運転していない場合、おでかけ当日にいざ点検すると、思わぬトラブルが発覚するかもしれません。

時期を問わず日常点検は必要ですが、『おでかけ当日の朝だけすれば大丈夫』と考えずに、前もって点検をしていただければと思います。

JAFのHPではタイヤの空気圧や、バッテリー液の量など、『日常点検15項目』を公開しています。これらに加えて、タイヤやバッテリーが耐用年数を超えていないか、適切な交換時期はいつかを確認する必要もあります。

ただ、どうしても車に乗り慣れてない方や、しばらく運転してない方の場合は、『バッテリーの劣化・消耗具合が分からない』といったこともあるかもしれません。

そうした場合は必ず、早めに自動車販売店など“車のプロ”に相談していただきたいです」

また、運転に不慣れな場合は、車の状態だけでなく、以下の点についても事前に確認しておくべきだという。

「渋滞の発生を事前に知っていたとしても、目的地に到着するのが思ったより遅れてしまい、焦りから安全運転が阻害されてしまうことがあります。

渋滞を事前に想定しておいて、余裕を持った運転計画を立てたうえでのおでかけをおすすめします。

また、運転計画を立てる際に忘れてしまいがちなのが、『ずっと運転し続けるのは不可能である』ということ。

一般的な目安として、最低でも『2時間に1回』は休息を取る必要があります。また、高速道路を利用するのであれば、サービスエリアやパーキングエリアといったお手洗いの場所や、次のガソリンスタンドまでに十分な燃料があるのかも確認が必要です」(JAF・担当者)

年末年始を楽しく過ごすためにも、車を運転する際には、事前の準備・点検と安全運転を十分に心がけたい。