知的好奇心にあふれる大人女性が、50代の今から始めてみたいこと、いろいろありますよね。そんなあれこれに、コラムニストの柚原路子さんがトライします。今回は「片付け」のレッスン。リバウンドせず、部屋も心もすっきりするメソッド習得を目指して!
片付けのコツを知ってスッキリした暮らしを実現する
仕事に家事に忙しいハルメク世代の日常。週末を迎え、一通りの片付けと掃除を終えると、部屋はもちろん気持ちもスッキリする。そんな経験をお持ちの方も多いのでは。
私自身も毎週末、嫌々ながらも片付けを終えると、部屋だけではなく頭も整理され、新たな1週間が見渡せるような気持ちになってきます。
私が現在のマンションに引っ越したのは、2016年のこと。今のところ、室内は比較的整理されている方だと思うのですが、悩みの種になっていたのはキッチン収納でした。
2畳ほどのコンパクトなキッチンには作りつけの収納棚が10か所以上あるのですが、そのいずれもが“帯に短し、たすきに長し”。その上、鍋や食器類の数も無駄に多く、収納方法が今ひとつしっくりこないまま、数年がたっていました。
また、執筆業という仕事柄、すぐに書類がたまってしまうことにも悩まされていました。情報源としてクリッピングした記事や取材先で入手した資料が自宅にあふれ、必要な書類がなかなか見つからなければ、整理しようにもまとまった時間が確保できずにいたのです。
そこで今回、片付けと収納の課題を解決してスッキリした暮らしを実現しようと、2つのサービスを体験してみました。
一つは、「一度片付けたら、絶対に元に戻らない」という、「こんまり」こと近藤麻理恵さんが開発した「こんまりメソッド」の、ポイントがわかる「こんまり流片づけ体験セミナー」。もう一つは、インターネットで見つけたLIXIL(リクシル)オンラインショップの「整理収納サービス:半日(3時間)/1人プラン(お試し)」です。※どちらも2019年11月の取材当時のサービス・料金です。
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片付けは、なりたい自分になるためのはじめの一歩
世界40か国以上で翻訳出版されているベストセラー
いまや世界的に有名な「こんまり」。「こんまり流片づけ体験セミナー」は、たった1時間半で「こんまりメソッド」の概要がわかるというのだから興味津々です。
WEBサイトで申し込んだ後、送られてきた受付完了メールに従って受講料5000円(2019年11月取材当時)を振り込むと、会場の住所・電話番号とアクセス方法が記されたメールが送られてきました。
今回の会場は、私鉄沿線の駅を降りて徒歩10分ちょっとの講師の自宅マンション。通されたリビングは、さすが無駄なものが全く出ておらず、スッキリと整理されています。
参加者は多いときには5~6人になるとのことでしたが、その日の参加者は私一人。最初は多少緊張したものの、講師を独り占めできるのはラッキーとばかりに、我が家のキッチン収納の悩みや、仕事柄、書類がたまる一方の現状を包み隠さずにお話しました。
セミナーの最初は、「こんまりメソッド」の「リバウンドしないための5つのステップ」について。ここでは、講師が手掛けたBefore/Afterの写真をプロジェクターで壁面に投影しながら、具体的な説明がされました。
1.理想の暮らしを考える
(暮らしは、持っているモノと時間の使い方により規定される)
2.モノを「ときめくかどうかを基準に」見極める(手放すモノへの「ありがとう」の気持ちを忘れない)
3.適正量を認識する
(残したモノの数にときめくかどうか自問する)
4.定位置を定める
(使用後の戻しやすさや同居人との情報共有を考えたラベリングなどの工夫をする)
5.使ったら元に戻す
(戻せていなかったら、1からさかのぼって理由を考える)
2.では、「触った瞬間にときめきを感じるかどうか」で残すモノを見極めていくわけですが、講師によると、自分のときめきを信じると同時に、「自分が片付けを終えることができる」と確信することが大切だとか。
また、リバウンドしている場合は、5つのステップをさかのぼってその原因を探るという話に、なるほどと納得させられました。
5つのステップの後は、2つのワークを通して、1.2.にかかわるスキルを身に付けていきます。
まず最初は、理想の暮らしを考えるワーク。通常は「理想の朝の過ごし方を考える」とのことですが、私の場合はテレビをつけっぱなしにしがちな夜の過ごし方を考えることになりました。
「テレビを見ている時間のいくばくかを読書に振り向けたい」と理想を言うと、本が読みやすいように家具の配置を変えるなど、理想の暮らしに合わせてレイアウトを見直すことをすすめられました。
次は、「ときめきの感じ方」に関するワークです。当日の持ち物の中から一番ときめくモノを取り出すように言われたものの、1つに絞り込めずに迷っていると、心中を察したかのようにこれを見極めるためのコツを披露してくれました。
同じジャンルのモノはまとめて、「衣類→本→書類→小物→想い出の品」の順番で、集中して見極めることが大切なのだそうです。
セミナーの最後は、収納のコツについてです。ここでは同じジャンルのモノを分散させないことと、「とにかくたたむ」「とにかく立てる」という収納の2原則を教えてもらいました。
写真提供=KonMari Media Japan
講師が最後に力説されていたのは、「片付けにより、自分の判断に自信が持てるようになるとともに、人生のさまざまな局面での決断力がつくようになる」との一言。
実は今回の講師には、こんまり流片づけコンサルタントとして独立する以前、周囲に次々と不幸が襲いかかり、経済的にも困窮を極める中、自身も大きなストレスを抱えるという人生の壮絶な物語がありました。
こんまりメソッドに出合い、そこから立ち直ることができたのだそうです。
心にズシンとくるその物語を聞いて、私は「こんまりメソッド」が単なる整理・収納のテクニックに留まらず、「なりたい自分になるためのはじめの一歩」であることを、しっかりと腑に落とすことができました。