高齢者の経済状況と就労の現状
総務省「家計調査年報」(2023年)によると、単身の65歳以上無職世帯の1ヵ月の支出は14万5,430円、そのうち住居費は1万2,564円です。この住居費の金額からみて、持ち家がないと、この金額で暮らしていくのは厳しい状況だといえます。
内閣府の「高齢者の経済生活に関する調査」によれば、高齢者が仕事をしている理由として「収入がほしいから」が45.4%で最も多いです。つまり、経済的な理由で働かざるを得ない高齢者が少なくないのが現状です。
亀井さんのように、定年後も働き続ける高齢者が増えている背景には、年金だけでは生活が厳しい経済状況があるといえます。特に、持ち家がない場合や離婚などで資産が減少した場合、老後破産のリスクは高まります。
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老後破産を避けるための対策
亀井さんのケースから学べる老後破産を避けるための対策は以下のとおりです。
早期からの資産形成
現役時代から、投資や貯蓄を通じて資産形成を行います。特に、老後の住居費を抑えるため、可能であれば持ち家を確保します。
亀井さんは想定外の離婚で持ち家を失いましたが、田舎にある実家を妹との共有名義で所有しているとのことです。売却しても二束三文とのことで処分を決めかねていましたが、妹の持分を買い取ることができれば、住まい問題は解決できます。
リアルな老後設計
離婚や予期せぬ出費など、最悪のシナリオも想定した老後の生活設計を行いましょう。亀井さんが離婚したのは60歳ですが、65歳までに真剣に向き合っていれば、もう少しマシな判断ができたかもしれません。
ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談すべきでしたが、いまからでも遅くはありません。90歳(できれば100歳)までのお金の流れをキャッシュフロー表で確認したほうがよいでしょう。
年金以外の収入源の確保
副業や趣味を活かした小規模ビジネスなど、年金以外の収入源を確保します。
老後破産は、まじめに勤め上げた会社員であっても起こりうる問題です。亀井さんのような苦い経験をしないためにも、早い段階から老後に向けた準備を始めることが重要です。年金だけに頼らず、複数の収入源を確保し、柔軟に対応できる経済力を身につけることが、安定した老後生活への近道と言えるでしょう。
三原 由紀
合同会社エミタメ
代表