誕生と歴史。ヒントは自転車レースにあり
今では、フランス各地で愛されているパリブレスト。生まれたきっかけは、フランスの首都・パリと、西部の軍港エリア・ブレスト間で行われた自転車レースだったのだとか。
島田シェフ
「このお菓子は、1891年に開催された『パリ・ブレスト・パリ』という自転車レースが着想のもとになったとされています。コースの通り沿いにあったパティスリー『メゾン・ラフィット』の菓子職人 ルイ・デュランが、シュー生地を自転車のタイヤを模してリング状に絞ったのがはじまりです。
フランス人はナッツを好むため、ナッツとカラメルを合わせたプラリネもとても愛されています。パリブレストが130年以上にわたって作られ続けているのも、プラリネの影響が大きいのではないでしょうか。
プラリネに使うカラメルは日本では甘いもののイメージがありますが、ヨーロッパのカラメルはしっかり焦がされ、苦みがあるのが特徴です。焦がす際は、熱しすぎたら当然苦いけれど、中途半端で止めるとただ甘いだけになってしまう。絶妙なタイミングで火を止めることで、苦みと甘みのバランスがとれたカラメルが生まれます」
休日はカフェを巡り、ケーキやドリンクを楽しむことも多いという松川さん。撮影の間も、「甘いものに囲まれて幸せです」と美しい笑顔が。松川さんのパリブレストの感想は?
松川さん
「クリームがとにかく美味しいです!コクと香りがしっかりあるのに重たくなくて、シュー生地と一緒にすっきり食べられました。アーモンドスライスのパリッとした食感も楽しくて、どんどん手が伸びます……」
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パティシエ・シマではクリスマスケーキにも。味も形も多様に変化
フランスでは季節の分け隔てなく作られ、日本でも一年を通して定着しつつあるパリブレスト。パティシエ・シマには、そのほかのお店では見かけないパリブレストも!
島田シェフ
「うちの店では、スタンダードなパリブレストに加えて、リング状のシューの空洞にショートケーキを入れた『パリブレスト・ノエル』をクリスマスの時期限定で出しています。リング型だとケーキ全体の大きさの割にボリュームが少ないので、“ショートケーキを入れてみよう”、と。
このスタイルのパリブレストはほとんど見かけませんが、濃厚なプラリネに生クリームが加わることで味にコントラストが、スポンジが入ることで食感の違いが生まれ、より美味しくなりますね。
パリブレストのクリームは縦に絞るのが一般的な一方、1人分のサイズでは縦だとクリームの量が多すぎるため、横に絞るといった変化が生まれます。最近ではプラリネとシュー生地を使ったお菓子を包括してパリブレストと呼ぶ店も多く、ミシャラクでは稲妻のような形のシュー生地を使うといった変化がありますね。
クリームにもアレンジが加わり、プラリネにピスタチオをプラスしたり、そもそも生クリームに変えたり、うちの店ではアプリコットガナッシュや抹茶を加えて作ったこともありました。時代によって変化しながら、今でも愛され続けているお菓子です」