新年おめでとうございます。本年も「50代のこよみ養生」をどうぞよろしくお願いします。
お正月ぐらいは養生やセルフケアのことは忘れたい……なんて思うかもしれませんが、お正月の伝統的な慣習そのものが家内安全や無病息災を願ったもので、いわばセルフケアの超豪華版。お正月を楽しむことが養生にもなるなんて、日本の伝統は素晴らしいですね。

おせち料理が五色に彩られている理由とは


↑自然界のあらゆる物質や現象を、木(もく)・火(か)・土(ど)・金(きん)・水(すい)の5つにひもづけて分類する五行(ごぎょう)の図。

1年のうちにお祝いする行事はたくさんあれど、いちばんおめでたい日といえばなんといっても元日。
その事自体にはまったく異論はないものの、そもそもなぜ元日はそんなにおめでたい日なのでしょうか。

その理由は大きくふたつあるそうで、まず、昔は数え年で元日になるとみんなが一斉にひとつ歳をとっていたため、誕生祝いの意味があったといいます。だから元日には家族全員が集まって、おめでとうと祝い合うようになったわけですね。

また、元日は年神様をお迎えするときでもあります。年神様とは初日の出とともに山から降りてきて各家を訪れ、その年の豊作と子孫繁栄をもたらす神様。門松やしめ縄、鏡もちなどの正月飾りやおせち料理は、年神様をお迎えするためのものであり、1年の家内安全と無病息災などの願いが込められているのです。
こうしてその意味を知ると、あらためてお正月という伝統行事のありがたさが身にしみますね。

ところでおせち料理といえば、彩り豊かなイメージがありますよね。実はこのおせちの彩りは、東洋医学の基本理論である「五行(ごぎょう)」にもとづいているのをご存知でしょうか。

五行とは、自然界のあらゆる物質や現象を木(もく)・火(か)・土(ど)・金(きん)・水(すい)の5つにひもづけて分類する考え方のこと。色を木・火・土・金・水にひもづけたものを五色、人体の臓をひもづけたものを五臓といい、その関係性は以下のようになっています。

五行 五色 五臓
木⋯⋯青⋯⋯肝(かん)
火⋯⋯赤⋯⋯心(しん)
土⋯⋯黄⋯⋯脾(ひ)
金⋯⋯白⋯⋯肺(はい)
水⋯⋯黒⋯⋯腎(じん)

おせちには青・赤・黄・白・黒の五色が用いられていて、葉もののあしらいや若桃の甘露煮などの青は「肝」、えびやにんじんなどの赤は「心」、栗きんとんや伊達巻きなどの黄は「脾」、里芋やれんこんなどの白は「肺」、黒豆や昆布などの黒は「腎」の健康を願ったものとされています。おせちを食べるときは、この五色の彩りを楽しみながら五臓の健康を願うといいかもしれません。

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おせち料理はさまざまな薬膳の宝庫

おせちといえば「まめに働きまめに暮らせるように」の黒豆や「喜ぶ」の昆布など、すべての食材に願いや祈りが込められた縁起のいい料理。でもそれだけじゃなく、薬膳的に見ても次のような特徴があって、健康食としても素晴らしい料理なのです。お正月はおせちを堪能して、運と元気を蓄えていきましょう。

◉あわび
潤いと血を補う食材で、更年期の不眠やほてり、閉経時の不調、視力低下などの改善をサポートします。

◉えび
体を温める食材なので冷えをやわらげるほか、精力増強にもなります。そのほか皮膚のデトックス作用もあるので、はれもの、化膿、口内炎などの改善も助けます。

◉田作り(ごまめ)
かたくちいわしの幼魚を炒って煮詰めた田作り。いわしは気(き=エネルギー)と血(けつ≒血液)を補う性質があり、体力が落ちているときやむくみが気になるときなどにおすすめです。

◉昆布巻き
昆布は体内にたまった余分な水分を排出する作用に優れていて、むくみ、はれもの、おりもの、げっぷなどが気になるときに適しています。

◉黒豆
体内の血液や水分のめぐりをよくするので、しっしん、吹き出物、むくみ、生理不順、おりものなどが気になるときにおすすめです。

◉栗きんとん
栗は胃腸の調子を整えるほかアンチエイジング効果も期待でき、食欲不振、下痢、足腰の不調、耳鳴り、聴力低下などの改善に役立ちます。

◉れんこん
皮膚の再生を促す性質があり、なかなか治らない傷や皮膚トラブルが気になる場合によくとるといいでしょう。

◉きんかん
体内の気のめぐりをよくしてストレスをやわらげるほか、二日酔いの緩和にも役立ちます。