電車内でダンスをして床に転がる、神社の鳥居で懸垂のパフォーマンス……。2024年は、インバウンドで日本へ観光に来た一部の外国人が、こうした迷惑行為をしたとして、SNS上で炎上する騒ぎが相次いだ。
その背景には、日本人の寛容さをネタにする、SNSのフォロワー獲得を狙う、など様々な動機があると見られている。一部外国人のこれらの行為について、ユーチューブ上などで発言を続けている在日フランス人のフロリアン・ジョーダンさん(34)に質問し、メールで回答を受けた。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 野口博之)
「十字架で懸垂すれば、どう思われるのか」身勝手を指摘
「めちゃカトリックな国で、チャーチの中に入って、十字架でプルアップ(懸垂)したらどう? 怒るぞみんな…」
来日したチリ人姉妹が鳥居で懸垂するなどの様子を撮った動画が物議を醸したとき、フロリアンさんは2024年10月17日、自らのユーチューブチャンネル「Florian 京都のフランス人」(@floriankyoto)で静かにその身勝手を嘆いた。
フロリアンさんは、大聖堂などがあり古都として知られるフランス北西部のルーアン出身だ。ただ、郊外の住宅地に生まれ、そこでは、暴力や貧困が日常的に見られて社会問題化していたという。
日本のアニメに出会ってその文化に興味を持ち、22歳ごろに初めて日本を訪れた。そのときに京都を訪れ、強く惹かれて日本で生活したいと思い、2年後から京都に住んでいる。日本人の妻と8歳、6歳、4歳の3人の子どもがおり、日本の会社でホテルマーケティングマネージャーとして働いている。
幸せな未来が描けない環境で育ったというだけに、フロリアンさんは、子どもたちのためにも、日本の平和を「私が大切にしている宝物」と思っている。日本でユーチューバーとして活動しているのも、文化的な洞察や経験を語ることによって、平和を守るための解決策の一端を担えればとの思いからだという。
そんなフロリアンさんにとって、日本の文化を軽んじて迷惑行為をする一部の外国人は、許しがたい存在だ。自らのチャンネルでは、鳥居で懸垂の騒動のほか、米ダンサーグループの電車内ダンスなど、SNS上で一部外国人の迷惑行為が話題になるたびに、発言を続けている。
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日本は「安全な場所」大目に見られると考える人がいる
――日本で迷惑行為を行っている外国人観光客は、ごく一部に限られてはいますが、なぜこのような行為をするとお考えになっていますか?
フロリアン:ほとんどの観光客は日本を尊重し、靴を脱ぐべき場所で脱ぐなど、現地の習慣に従おうと最善を尽くしています。ただし、中には日本を「安全な場所」と見なして、他の国では問題になりそうな行動も大目に見られると考える人がいるようです。これは、一般的に日本人が礼儀正しく、対立を避ける傾向にあることが理由かもしれません。
また、ソーシャルメディアの影響も大きいと考えます。一部の観光客は、目立つためにショッキングな内容を作成しようとする傾向があります。特にSNSの発展や最近の円安の影響で、日本へのアクセスが容易になった結果、残念ながら日本での不適切な行為が増えているように感じます。
――一部外国人による迷惑行為に対し、日本人がその場で注意しないケースも見られましたが、こうしたことも改めるべきなのですか。
フロリアン:いいえ、日本人が観光客に注意したり、対立するような行動を取るべきだとは思いません。むしろ、それが日本の平和や調和を損なう可能性があると懸念しています。日本人が変わる必要はないと思います。訪れる側の人々がその土地に順応し、文化を尊重する努力をするべきだと考えます。
これを解決するためには、観光庁や地方自治体が観光客に文化的なルールや期待について積極的に情報を発信することが重要だと思います。また、日本人自身が問題が発生した場合に、礼儀正しくも自信を持って対処できるツールや方法を活用できるようになることも効果的です。
こうした「ツールや方法」については、具体的には、いくつかあるとフロリアンさんは言う。