身の危険があるため、スタッフを頼ったり当局に連絡を

まず、迷惑行為をした相手に対し、言葉に出さずに不快感を示すことだとして、軽い視線や首を横に振る動作、少し後ろに下がることを勧めた。

次に、口頭での注意に移るとしても、「すみません、静かにお願いします」「申し訳ありませんが、ここでは撮影禁止です」などと、日本語や英語で礼儀正しく丁寧な言葉を使うことを挙げた。こうした穏やかな表現なら、状況がエスカレートするのを防ぐ効果があるのではないかという。

無理に介入すると身の危険に晒されかねないため、近くにいるスタッフや警備員に対応を依頼するほか、適切なタイミングで当局に連絡するという選択が賢明だとも指摘した。

また、外国人観光客が多く訪れる場所でマナーを説明するポスターを増やしたり、日本の文化やマナーを積極的に紹介するSNS上のコンテンツを増やしたりすることも、大切だという。

フロリアンさんは、日本人が落ち着いて、礼儀正しく、建設的に問題に対応できるような教育資料や自己学習できる実践的な方法が「ツールや方法」だとしている。

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インバウンドの悪影響防ぐには、「住民向けの割引」がいい

――ところで、インバウンドの悪影響として、ホテルやスキー場の価格高騰が日本人の生活に影響を与えていることも指摘されています。こうした点については、どうお考えですか?

フロリアン:最近、宇治で抹茶が品薄になり、価格が上がるという話を聞きました。昔から抹茶を飲んでいる地元の方々にとって、これがインバウンド観光の影響で起こっていると思うと気の毒に感じました。可能であれば、地元の方々を守るために二重価格制度を導入するのも良いと思います。観光業界以外の人々はインバウンド観光の恩恵を受ける機会が少ないため、価格の上昇が続くと負担が大きくなりすぎるのではないかと懸念しています。

――二重価格制度を導入すると、外国人差別だとの批判が出ることが予想されますが、観光地では世界で一般的に広がっていることから、外国人差別とは必ずしも言えないのでしょうか?

フロリアン:おっしゃる通り、二重価格制度は観光地で広く見られますが、その意図が重要だと思います。透明性をもって導入されれば、地元住民を守りつつ、観光客が経済に適切に貢献する仕組みとして位置づけられるでしょう。
例えば、「地元住民向けの割引制度」を強調すれば、外国人に対して「高い価格を設定する」というネガティブな印象を与えることなく、自然に地域の人々を優遇することができます。他国では観光客を見て「顔で価格を決める」ような不透明なやり方もありますが、これは日本文化には合わないと思います。明確で公平な価格設定が最も適していると考えます。