中華そばの店 みのひ(志村坂上)|暴力的な旨さで食べ手をねじ伏せる「MIXラーメン」

『中華そばの店 みのひ』は、2024年9月14日の「巳の日(みのひ)」に、都営三田線・志村坂上駅から徒歩約2分という好立地にオープンした。

 提供する麺メニューは、「ラーメン」と「つけめん」の2種類。基本メニューは「ラーメン」。

 麺量は230gとボリューム満点。この1杯、端的に申し上げて、涙が出るほど旨い。店紹介の記事で「旨い」という直接的な表現はあまり使わないようにしているのだが(紹介する=旨いということなので)、その禁を破ってしまうほどずば抜けた完成度を誇る。

 この1杯のスペックをシンプルに表現するなら、実力店『麺処井の庄』(石神井公園)で修業した店主が繰り出す、動物系と魚介を合わせた、いわゆる「MIXラーメン」ということになる。同じ「MIXラーメン」の名店『べんてん』(成増)、『としおか』(早稲田)に味のベクトルが似ていると評するマニアも多い。だが、こんな蘊蓄すら意味をなさないほど、この1杯の味わいは卓越している。


「ラーメン(230g)」1000円+味付玉子120円

 豚骨出汁の分厚いボディから、鯖の風味の利かせ方、活かし方に至るまで、すべてがパーフェクト。とりわけ、スープの表層を浮遊する「香味鯖油」の深遠なコクと芳醇なうま味たるや尋常なものではなく、すすり上げた瞬間、全身から歓喜の鳥肌がゾクリ。

 都内の名門『三河屋製麺』謹製の太ストレート麺も、スープとの相性やすすり心地の快適さなどを十分吟味した上で選ばれていることが一目瞭然。茹で加減も、過不足なくジャストな塩梅で、付け入る隙は皆無。

 単に味が良いだけでなく、スケールの大きさを合わせ持っている点も、特筆に値する。こんな名店の“卵”と出逢い、成長を見守ることができる。これだから、ラーメン食べ歩きは止められない。

●DATA
中華そばの店 みのひ
住:東京都板橋区志村2-1-4
営:月・火・金11:30〜13:30、17:00〜20:30
  木17:00〜20:30
  土日祝10:00〜15:00
  ※売り切れ次第終了
休:水・日

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らぁ麺 花筏(亀戸)|2024年最大級の話題店

 続いてご紹介するのは、2024年9月18日にオープンした『らぁ麺 花筏(はないかだ)』。場所は、亀戸駅(JR総武線)東口から徒歩約10分程度。

 店主は、味噌ラーメンの名店『ど・みそ京橋本店』 (京橋)で研鑽を重ねた、生粋のサラブレッド職人。しかしながら、修業先で会得した味噌ラーメンではなく、「らぁ麺 醤油」、「らぁ麺 塩」、及びそのバリエーション(「ワンタン麺」「チャーシュー麺」等)で勝負を挑む。いずれも、店主自身が、全くの更地から味を築き上げたオリジナル商品だ。

 同店の「らぁ麺 醤油」、「らぁ麺 塩」の完成度は、共に新店とは思えないほど高い。どちらを選んでもいいが、私が強く推したいのは「塩」だ。


「ワンタン麺 塩」1400円

 スープは、鶏と魚貝から滋味の粋を余すところなく搾り取り、各々の素材のうま味をグッと引き寄せ抱き合わせることで、一体感のあるうま味へと昇華させたもの。そのうま味は、味蕾に触れるたびに、血流に乗って全身へと沁みわたるような感覚を覚えるほど、引きが強く官能的。

 テイストに確かな個性が感じられる点も、この1杯の大きな強みだ。「甘み」を明快に打ち出すことで、あえて、程良い塩梅の朴訥さを演出。その甘みが、レンゲを持つ手を止めさせない強烈な「フック」として機能している。

●DATA
らぁ麺 花筏
住:東京都江東区亀戸7-49-4 高庭ビル1F
営:11:00〜15:00
  土日祝10:30〜15:00
休:月