食楽web

●「旅先で旨いものを食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこで、食楽webでは東京のB級グルメに精通する現役タクシー運転手・荒川治さんに、オススメのお店を教えてもらいました。今回は、荒川さんの地元エリアである東京・板橋区の優秀店を紹介してもらいます。

 私が住んでいる東京・板橋区は、都心に近いにもかかわらず、かなりリーズナブルな飲食店が揃っている庶民的なエリア。しかも味のレベルも高く、まさにB級グルメの宝庫です。

 ご存知のように、2024年は食品の値上がりが激しかったので、ランチでは“1000円の壁”という言葉も流行りました。つまり1000円ではランチを出せなくなった食堂やレストランが多くなっているわけです。

 しかしご安心を。板橋区にはいまだに1000円以下でお腹いっぱいになれるお店がたくさんあります。そこで今回は、安くてボリュームもたっぷり、私が自信を持ってオススメするウマい店をご紹介していきましょう。

お腹も心も大満足!『桐半』のカツカレー


特選カツカレー900円

 まず一軒目は、都営三田線・志村坂上駅にある『とんかつ食事処 桐半』さんです。

 とんかつ定食も美味しいのですが、私はここのカツカレーが大好き。カツカレーはごはん並盛りで700円、ごはん大盛りで900円、そして特選カツカレーでも大盛りと同じ900円です。

 数年前までは並盛りが500円で食べられましたが、さすがに今は200円値上がりして700円に。でも、それでもまだまだ安いですよね。そして食べてみればわかります。このお値段がめちゃくちゃ安すぎるということが。


特選カツ用にカットしたロースカツを丁寧に下処理

 1枚1枚、手仕込みしたとんかつに、御年83歳の店主さんが朝から丹念に仕込んだカレー。味は専門店のカレーというよりは素朴で家庭的な味わい。そのカレーと手仕込みのとんかつとの相性が抜群なんです。サクサク、ジューシーで柔らかいかつ、優しい味のカレーソース。最高です。私はいつもごはん大盛りで食べお腹パンパン。これで大盛り900円は破格値というか、感謝でいっぱいです。

 ちなみに、ご飯の量は増やさず、カツを大きく分厚くしたいなら「特選カツカレー」(900円)がオススメ。上の写真の肉厚のロースカツがそれです。こんな分厚いカツで、ご飯大盛りと同じ値段だなんて、感激です。

 桐半さんのもうひとつの特徴は、店主さんとおかみさんの2人で経営しているのに、365日ほぼ休みがないこと。なんと、年末年始も営業しています。実は私もほぼ毎年、お正月に行くのが習わし。というより、初詣のような気持ちで訪店しています。おせちに飽きたらカレー! ぜひお正月にお時間があったら、『桐半』さんに行ってみてください。

●SHOP INFO

店名:とんかつ食事処 桐半

住:東京都板橋区志村1-16-11
TEL:03-3969-5284
営:昼11:00~14:00、夜17:00~22:00
休:無休

板橋ナンバー1の呼び声高いつけ麺屋『つけそば周』


「特製つけそば」

 続いてご紹介するのは、都営三田線・板橋区役所前『つけそば周』さんです。ここは、濃厚な煮干しのつけ汁が特徴のつけそばが名物。板橋区内のつけ麺屋ではNo.1との呼び声も高い人気店です。ここの「つけそば」は、並890円、大990円、極み1090円と量に違いがあり、またここにトッピングが載る「特製つけそば」もあります。

『つけそば周』さんの第1の特徴は、無化調の濃厚魚介系のつけ汁と、コシがあって小麦の香り高い自家製の太麺。これがもう、至極の美味しさなんです。 ちなみに最近、先代の親父さんから息子さんへと2代目に代替わりしたようですが、その味はしっかり継承されていて、文句のつけどころナシ!


「特製つけそば」はトッピングも美味しい

 そして『つけそば周』さんの第2の特徴として、自家製麺の量が挙げられます。通常の「つけそば・並」で、茹で前の量が300g(890円)。これでもかなりのボリュームですが、「つけそば・大」に至っては、麺量が茹で前で450gもあり、おそらく茹で後は700gを超えると思います。


「つけそば・大」は茹で前の麺量450g茹で後はおそらく700g超。トッピングが小さく見えます

 ちなみに私はかつて初めて訪店した際、よくわからないままここの「つけそば・大」にトッピングを載せた「特製つけそば・大」にしたら、危うくギブアップしそうになりました(ちなみに私はわりと大食漢の方です)

 ですから「つけそば・極」(茹で前600g茹で後は1kgを超えると言われる)は、さすがの私でも怖くてチョイスした事はありません。自信のある方は、ぜひ挑戦してみてください。

●SHOP INFO

店名:つけそば周

住:東京都板橋区板橋宿2-63-4
TEL:03-6780-6002
営:11:00~14:30
17:30~21:00(スープ終了まで)
休:日曜

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デカ盛りでウマすぎる蕎麦屋『松月庵』

 最後は、都営三田線・志村坂上にある『そば処 松月』さんです。このお店の近くには、深夜の腹へりを満たしくれる立ち食いの『そばひろ』や、蕎麦懐石なども楽しめる高級店の『よし田』もあり、それぞれニーズに合わせて選べるので、そば好きにはたまらないエリア。


一見、どこの街にもありそうな『そば処 松月』さんですが……

 この『そば処 松月』さん、一見、どこにでもありそうな普通のお蕎麦屋さんに見えますが、普通じゃないのがそばの量。一般的に、そばを食べるとき、もりそば一枚じゃちょっと足りないから大盛りにしよう、なんて考える人は多いでしょう。しかし、ここの大盛りは危険です。


盛りそばの大盛りはすごすぎます!

 なにしろ、普通のもり蕎麦でも他店の大盛りの2倍以上はあり、大盛りをチョイスするとびっくりを通り越してもはや笑えるほどの量のもりそばが到着します。普通の人は、「これ、食べきれるのかな……?」と不安になるかも。

 ただ、しっかりと冷水で締められた蕎麦は喉越しも香りもよく、これほどの量があっても最後まで飽きずにいただけるんです。


たぬきせいろ800円+150円で大盛りにするのが私の定番

 寒い時期には、温かいつけ汁の「鴨せいろ」もナイスチョイスだと思います。 12月31日は毎年店頭でテイクアウトのお蕎麦や天ぷら朝をから販売しています。私は毎年買いに行っています。 ちなみにお蕎麦は1人前で650円です。

●SHOP INFO

店名:そば処 松月

住:東京都板橋区小豆沢2-19-14
TEL:03-5392-1956
営:11:00~21:00
休:月

(文◎土原亜子)

●プロフィール

荒川治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。