大腸内で作り出される「酪酸」は「天然の痩せ薬」

大腸内発酵の代謝産物である短鎖脂肪酸ですが、これは食物繊維を分解する過程で作り出されます。この短鎖脂肪酸は主に「酪酸」「プロピオン酸」「酢酸」の3種類があり、このうち「酪酸」は、大腸の腸管上皮細胞のエネルギー源で、整腸効果や腸の炎症抑制、免疫力の向上にも作用することがわかっています。

さらに近年、米国の研究により、酪酸に「肥満抑制効果」があることが明らかになりました。脂肪細胞には酪酸を感知するセンサーがあり、酪酸を感知すると、「中性脂肪の蓄えをやめる」という働きが起きるのです。この研究では、「肥満の人の腸内では、腸内細菌叢が変化し、短鎖脂肪酸を作り出す力が落ちている」ことも判明しました。

要するに、腸内細菌および腸内環境が正常ならば、太りにくい体でいられるのです。

松生 恒夫
松生クリニック
院長