夜職は「20代までの期間限定である商売」ととらえる人々は多い。実際に業界の扉を叩く女性たちも仕事を始めたての頃は、ほぼ全員が同じような考えを持つ。
高収入をキープできるのはほんの一部だけ
働くキャストの卒業年齢は20代後半から30代前半が一般的なものの、30代半ばを超えても現役を続ける人も存在する。今は世の中の夜職に対する偏見が薄まり、SNS集客など仕事の仕方も変わったことから「平均寿命」が伸びたからだ。
ただし、高収入をキープできるのはほんの一部だけで、30代後半以降であるキャストの半分程度は貧困にあえいでいるのが現実だ。年齢が上がるほど収入が減り、仕事も変えるタイミングさえ失う「八方塞がり状態」に陥る人々が増えたという。
そもそも、35歳を超えると、夜の世界では働ける店が激減する。悲しいかな自分を売り物にする商売では年齢と容姿のジャッジが厳しく、ベテランは持ち客がいなければ採用にまでも至らない。夜職といえど、継続するなら昼職のように「キャリアの積み重ね」が重要視されるため、相当な努力をしなければ高収入をキープするのは難しい。
歳を取るほど持ち客がいて当たり前で、経験があるのに客ゼロだと「今まで何をしてきたのか」という目で見られてしまうほどだ。
年齢が進んでから収入に困る人々は、若い頃からその日暮らしのようなスタンスで働いているケースが多い。
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30代後半でも昼職への復帰や方向転換はできるのか
まず前提として「一生夜の世界にいる」と固く誓って、業界デビューをするタイプなどほぼいない。そのため、みんな最初はバイト感覚で仕事を始める。すぐに卒業するつもりでいれば、100%の力を出して働こうなど思わない。若いだけである程度は稼げてしまい、徐々に金銭感覚がおかしくなっていく。
夜職は、30代前半までならどうにかなってしまうのが怖いところ。適当に稼げるとズルズルと仕事を続け、考えを先延ばしにし、収入に困ったところでようやく危ない現実に気づく。その頃にはすっかり自由な生活に慣れ、後戻りが出来なくなってしまう……というのが、よくあるオチだ。
30代後半でも昼職への復帰や、方向転換は十分に可能なのだが、長年夜の世界に身を置いていると次のステージに進む勇気が出なくなる。「今さら普通の仕事なんてできやしない」と決めつけてしまえば、その日暮らしの働き方からは抜け出せない。
いろいろなマイナス要素が合わさって稼げなくなった夜職ミドル世代は生活に苦しみ、店を転々と変えたり、出勤をしても満足の行く稼ぎが得られないという負のループに陥る。