正月に妻が「離婚」を切り出してきた。結婚7年目、世帯年収3,000万夫婦に亀裂が入ったワケ

男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:「彼女との結婚はないな…」交際3ヶ月目の28歳女と軽井沢を旅行中、男が幻滅したワケ

楽しいホリデーシーズンを終え、無事に迎えた新年。

しかし僕の実家からもらってきたおせち料理の残りを、ダイニングテーブルの上で保存容器からお皿に移し替えていた妻の香穂が、急にこんなことを言い始めた。

「もうダメかもしれない…」

のん気にソファに寝そべりながらテレビを見ていた僕は、驚いて後ろを振り返る。

「え?今何か言った?」

テレビからは、お笑い芸人たちと女子アナの笑い声が聞こえる。

でも僕の周りの雑音は、一瞬かき消された。

「慎太郎。離婚しない?私たち」



Q1:どうしてこのタイミングだった?



香穂と結婚したのは、もう7年前のことになる。当時僕は35歳、香穂は28歳だった。

香穂は、同じ日系の証券会社に勤めていて僕の部下だった。実は当時、僕には婚約者がいた。しかし香穂とひょんなことから仲良くなり、交際に発展してしまい…。

結局、僕は婚約を破棄し、香穂とは約1年の交際を経て籍を入れた。

結婚後、僕は転職して別会社へ移ったので今は違う会社だけれど、香穂は引き続き同じ職場で仕事を頑張っており、今の年収は1,200万くらいだ。

僕自身も今は1,800万弱くらいの年収があるので、二人合わせると夫婦で世帯年収は約3,000万だ。

一般的には稼いでいる部類に入ると思うし、いわゆる“パワーカップル”なのかもしれない。

そんな香穂との結婚生活は、もちろんケンカもあるけれど、幸せで順風満帆だった。

休みの日は二人で出かけ、4年前には世田谷に共同名義で家も購入した。なかなか子どもができなかった僕たちには、可愛い“次郎”という犬もいる。

「結婚したら女性は強くなる」とよく言われるが、我が家もその典型だった。

結婚前までホワホワしていて可愛い系だったはずの香穂。しかし結婚後は、僕は完全に香穂の尻に敷かれている。

「慎太郎、ちょっと次郎のエサあげてくれない?」

「はーい」

「あと、ぼーっとしているならその辺り片付けて」

「はーい」

でも、それでも構わなかった。女性が強いほうが、家庭は上手く行くと思うから。家のことはなるべく半々にしようとも思っていたけれど、結果として、ほぼ香穂がやってくれている。

なぜなら、彼女がやる方が早かったからだ。例えば掃除に関して言うと、僕の掃除は香穂からすると完璧ではないらしく、何度もやり直しの指令が飛んできた。

「慎太郎、本当にここ拭いたの?すごい拭き残しがあるんだけど」

「え〜本当?僕からは綺麗に見えるけど」

「もういいよ、私やるから。慎太郎は、ゴミまとめておいて」

こんな会話が、日常茶飯事だった。



Q2:妻が離婚を決意することになった決め手は?



こうして、穏やかな結婚生活が続いていた僕たち。

ただ唯一、僕と香穂で意見が合わなかったことがある。僕の実家は都内にあるのだが、香穂の実家は福岡で、遠いせいか、あまり香穂は実家へ帰ろうとしなかった。

そのことで、毎年いざこざは確かにあった。

「香穂、今年も実家に帰らないの?」

「うん、今年はいいかな。連絡は入れたし」

「そうなんだ。でもさ、親とは仲良くしようよ。大事だよ」

「わかってるけど。むしろ慎太郎は仲良いよね」

あと香穂のご両親は離婚しており、双方パートナーや再婚相手がいるので邪魔をしたくない、という気持ちもあるようだ。

でも僕のほうはどちらかというと両親も仲が良く、頻繁に実家に帰っている。結婚当初は毎回香穂も付いてきてくれたのに、最近はパタリと足が遠のいている。

だから「せめて正月くらいは…」ということで、最低でも毎年正月は、僕の実家に挨拶も兼ねて一緒に行くことにしていた。

「明けましておめでとうございます、お義母様」

「香穂さん、お久しぶりね。最近全然顔も出してくれないから、心配していたのよ」

「すみません、少し仕事が忙しくてなかなか伺えずでして…」

「慎太郎はこんなに帰ってきてくれるのに。孫の顔も見れないんだから、せめて二人で仲良く顔を見せにいらっしゃい」

「そうですよね。すみません」

そんな母と香穂のやり取りが、ここ数年の定番になってしまっていた。

正直、僕はこれに関しては母の意見に賛成だった。家族となった以上、僕の両親も大切にして欲しいと思うのは当然のこと。

僕も香穂の両親を大切に思っているし、もっと会いたいとすら思っている。

だから実家のリビングの端で、僕は香穂に耳打ちした。

「香穂、頼むよ。母さんの前ではちゃんとしてね」

「わかってるよ!こうやって来ただけでも偉くない?失礼のないようにするから」

「頼むよ。妻の務めとしてさ」

「わかった」

そんなことを話していると、キッチンの奥のほうから母の声がする。

「ちょっと香穂さん、手伝ってもらえるかしら?これらは女性の仕事だから」

「はい、今行きます!」

父と僕は基本的にリビングにいるので、母と香穂の会話は聞こえない。でもそこで、何か言われたとも思えない。

「うわ、美味そう〜!」

並べられたおせち料理を見て、僕は思わず感嘆の声を上げる。

「今年の黒豆、すごく上手にいったと思うから食べてみて。あとは…」

おせち料理の説明を嬉しそうにする母。これが幸せな家庭の食卓だと思う。

香穂も隣で熱心に説明を聞いていたし、もはや帰り際なんて、ちゃっかり容器に詰めておせち料理のおこぼれをもらっていたほどだった。

「やった〜。これでご飯作らなくて済む!」

帰り道、そんなふうに喜んでさえいた。

しかしこの翌日。香穂は急に離婚を持ちかけてきた。たった昨日まで、幸せに楽しく暮らしていた僕たち。

一体、香穂に何があったのだろうか…?



▶前回:「彼女との結婚はないな…」交際3ヶ月目の28歳女と軽井沢を旅行中、男が幻滅したワケ

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

▶NEXT:1月5日 日曜更新予定

女が離婚を決意した本当の理由は?