「七賢」×「アラン・デュカス」日本酒とフレンチの共鳴

山梨の銘酒「七賢」とフレンチの巨匠アラン・デュカスは数年来、コラボレーションを重ねてきた。この秋、世界各地で日本酒とフランス料理のマリアージュを楽しむ「美酒美食の旅」を開始。それぞれが思い描く未来を聞いた。

アラン・デュカスが生み出す驚きのクリエーション


アラン・デュカス
フランス・南西ランド地方出身。世界11カ国で約30のレストランを統括。「ル・ショコラ・アラン・デュカス」「ル・カフェ・アラン・デュカス」も展開。
©Matteo Carassale

1750 年創業の山梨銘醸「七賢」とフレンチの巨匠アラン・デュカスは、これまでに、食前酒としての日本酒「アラン・デュカス スパークリング サケ」、食後酒またはカクテルにできる「アラン・デュカス サステナブル・スピリッツ」を共同開発してきた。この秋から、アラン・デュカスのレストランでこれらの日本酒とペアリングした一晩限りのディナーを開催。10月に東京でスタートし、タイ、イタリア、モナコ、フランス、イギリス、アメリカを巡る「美酒美食の旅」だ。メニューカバーには、伝統的な革工芸「甲州印伝」を使用。山梨県で1582年に創業した「印傳屋」によるもので、さまざまな職人技が結集する特別なディナーとなる。


日本の「ベージュ アラン・デュカス 東京」を始め、世界7カ国で美酒美食の最上のペアリングを披露した

アラン・デュカスはコラボレーションの始まりについて、こう振り返る。

「スパークリング サケは世界中で愛されるお酒を目指し、クリエーションのすべての工程において、いかに驚きがあるかを大切に考えました。その品質を守り、発泡酒の特性を生かすために日本酒をシャンパンボトルに入れているのもサプライズですし、フランス料理との親和性にも驚いていただけるでしょう。日本の歴史ある酒造には優れたノウハウがあり、どのお料理にも合うお酒を造ることができました」

ワールドツアーで日本文化を広めていきたいという思いもある。

「山梨という土地の魅力を、スパークリング サケや印伝を通して世界中に知ってもらうことができます。常に進化していくフランス料理とともに、好奇心旺盛な客層に届けることができるでしょう」


「アラン・デュカス スパークリング サケ」のラベルに因んだ波紋を鹿革に漆で描いたメニューカバー。「甲州印伝」の職人技が特別な宴に花を添えた

パリでは「バカラ」とコラボレーションし、9月に「アラン・デュカス バカラ」をオープンするなど、新たな試みが次々と話題を呼んでいる。

「バーでは「バカラ」のグラスに入れて提供しています。サステナブル・スピリッツを使ったカクテルもお出ししていますよ。始まったばかりですが、非常に喜んでいただいていますね」


アラン・デュカス バカラ
今年9月にオープンした、「アラン・デュカス バカラ」。パリの最新スポットとして話題を集めている
©Mickaël Bandassak

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「七賢」・北原対馬の伝える日本の酒文化・食文化


北原対馬
1982年生まれ。山梨県出身。山梨銘醸の13代目。2018年、代表取締役社長に就任した。

フランス料理とのマリアージュについて山梨銘醸の北原対馬は変化を実感している。

「ここ10年でフランス料理の世界観は変わってきました。持続可能性の高い食材を使い、魚や野菜を中心に献立を構成したり、調味料にゆずやみそ、しょうゆを取り入れたりしています。するとワインでは合わない場合もあり、ペアリングに日本酒が含まれるようになったのです。フランス料理の世界で日本酒が0から1になった、素晴らしい変化でした」

「ル・ショコラ・アラン・デュカス」とコラボレーションし、ショコラも手がける。

「ショコラはカカオの発酵食品ですから、米の発酵食品である日本酒と合います。日本の酒文化、食文化を国内外にどう提案していくか、生産者として考えていきたいですね」


山梨銘醸「七賢」
1750年、日本アルプスに囲まれた山梨県・白州で創業。甲斐駒ヶ岳の伏流水を仕込み水とし、地元農家と契約栽培した米を使用する。銘酒「七賢」のほか、食前酒「七賢スパークリング」など、時代のニーズに合った酒造りに取り組む

・「バカラ」と「アラン・デュカス」渾身のコラボレーションで生まれたパリ16区の新スポット
・チョコレートジャーナリストの市川歩美さんが教える、“絶対失敗しないチョコレートとのペアリング”