冬の寒さで体が冷えて「おなかの調子が悪くなってきた」という人もいるのではないでしょうか。『腸にいい習慣ベスト100』(総合法令出版)著者で松生クリニック院長の松生恒夫氏によると、こうした「大腸の機能低下」はさまざまな不調を引き起こすといいます。松生氏が作成した簡易チェックリストをもとに、あなたのいまの状態を確認してみましょう。
9つ以上当てはまると“重度”…「停滞腸」15のチェックリスト
肌荒れ、体臭、だるさ…不調を作り出す「停滞腸」
機能が低下した大腸の状態を私は「停滞腸」と呼んでいます。その大腸を大腸内視鏡で診ると、健康な腸のように脈打たず、働きが鈍かったり、動きがほとんど止まっていたりします。排泄する力が弱まり、大腸内に老廃物が溜まりやすくなります。
停滞腸でお腹に張りを覚え、下腹部がポッコリ出ている場合、多い人で2〜3Lものガスが溜まっていると考えられます。腸の不快感だけでなく胸やけやげっぷ、吐き気、痛みなど胃の不調も生じさせます。
加えて、老廃物が有害物質を発生させ、血液を介して全身をまわっていくと、肌荒れが出て、口臭・体臭が強くなります。頭痛、肩こり、むくみ、疲れやすさ、だるさなど、さまざまな症状も招きます。新陳代謝の低下から脂肪が燃焼しにくくなり、太りやすくなるケースもあります。
停滞腸は、便秘症予備軍の証であるだけでなく、大腸がんをはじめ、恐ろしい腸の病気の引き金にもなります。次のチェックリストで、あなたの状態をチェックしてみてください。
停滞腸チェックリスト
1.野菜はあまり食べない
2.果物はあまり食べない
3.外食が多い
4.水分の摂取量が少なめである
5.1日3食食べないことがよくある
6.食後、下腹部がポッコリと出やすい
7.むくみやすい
8.冷え性である
9.真冬になるとお腹の症状が悪化する
10.それほど飲み食いしているわけではないのに、なぜか痩せない
11.ダイエットをしているのに下腹だけポッコリと出ている
12.なんとなく、いつもお腹がすっきりしないし、体も重く感じる
13.便が出たあとも爽快感がない
14.あまり体を動かさない
15.最近ストレスを感じることが多い
4〜5項目当てはまる…軽度の停滞腸
6〜8項目当てはまる…中程度の停滞腸で注意が必要
9項目以上当てはまる…重度の停滞腸
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気温差は腸にも影響…季節を問わず「腸の砂漠化」に要注意
腸のために食事や生活習慣に気をつけている人でも、意外と見落としがちなのが水分の摂取です。
多くの人は、飲んだ水のほとんどは大腸へ移動して、便をやわらかくしてくれると思い込んでいますが、実際に便に行くのは飲んだ水のたった2%です。2Lの水を飲んでも、たった40mLしか便には送られないのです。
本来、大腸の中はたっぷり水分を含んだ「泥状」の食物残渣が多くあります。しかし、水分の摂取量が少なかったり、汗の量が多かったり、食物繊維の摂取量が少なかったりすると、大腸内の水分が減少します。
すると泥状であった残渣が固形化し、大腸の中にはびこります。このように残渣が停滞しやすくなった状態を、私は「腸の砂漠化」と呼んでいます。
腸が砂漠化すると便秘が慢性化し、腸の働き自体が衰える「停滞腸」になります。そして排出されない老廃物が有害物質を発生させ、それらが全身をめぐり、不調や病気を引き起こします。お腹の中には常に2〜3Lのガスがたまっている状態となり、腹部の強い不快感が脳神経に伝わり、うつうつとした気持ちを引き起こしてしまうこともあります。
腸の砂漠化は、季節を問わず注意が必要です。夏場は発汗が多くなり、「夏便秘」が増えます。
冬は水分の摂取量自体が減りやすく、冷えも影響して停滞腸が発生しやすくなります。季節の変わり目やエアコンが稼働する時期には、10℃以上の気温の変化や室内と室外の温度差によって、腸の調子が崩れやすくなります。
腸の砂漠化を予防するには、少なくとも1日2L以上の水分を摂るようにしましょう。コップ1杯程度ずつ、分割して飲むのがコツです。
松生 恒夫
松生クリニック
院長