“自然に学び、自然を愛し、自然と歩んだ70年” 進化を続ける「クラランス」の未来

2024年、創業70周年を迎えた「クラランス」。創業者の息子としてブランドの精神を受け継ぎ、次世代へと手渡すクリスチャン・クルタン・クラランスが語る未来、そして日本との深いつながりとは。

神道に通じる「クラランス」の精神


クリスチャン・クルタン・クラランス
1974年に「クラランス」社ディレクターを経てスポークスマンに。128カ国で製品とメソッドを紹介。常務取締役を経て、2000年、「クラランス」グループの会長に就任。現ファミーユCパルティシパシオン マネージング・ディレクター。

──70年の重みをどのように考えていらっしゃいますか。

「70年の幸福ですね。常に最高峰を追い求めてきました。1985年、『クラランス』が日本に初上陸した際、父の人生で2度目となる旅行を一緒にしてくれました。父は旅行が嫌いでしたが、日本の神道について話したところ、日本に行くと言い出したんです。神道の教えは『クラランス』の理念そのものなので、とても興味を持ったようでした。自然と調和して暮らすこと。そして他者を尊重すること。このオープンマインドこそ、『クラランス』が大切にしてきた価値なのです」

──ますます発展していくために大切にし続けたいこととは?

「人間としての真の価値を大切にし続けること、限りなく環境を汚染しない開発の仕方を見つけ、自然を保護し、継続すること。シンプルな価値観ですが、勇気を持って果敢に取り組んでいかなければなりません。それを突き詰めていくことで、さらに卓越性に近づいていくと思います」


アルプスにある自社農園ドメーヌ クラランスでは、環境の汚染と無縁の自然環境下で持続可能な農法により植物を育成。製品に処方されている。今年、新たに第2農園を取得

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自然へのリスペスト、他者へのリスペクト、そして耳を傾ける

──2008年に企業形態を家族経営に戻しましたが、その理由とは?

「1984年に上場しました。資本提供を受け、ラボを大きくし、商品を開発することもできました。ただ、毎年業績を上げることを求められるようになりました。植物の研究を中核とし、長期的な視野のもとに会社運営を行う私たちのような企業では、毎年新しい製品を出し続けて業績を上げることはできません。そこで上場を取りやめました。『クラランス』の哲学を貫くための選択です。これからも、『クラランス』の基本的価値はすべて守ります。ただ、世界で起きていることには常に注視しなければならない時代になりました。今回、子供たちエマ、ジャード、トムと来日しましたが、彼らのような十代の若者といることで時代に順応していける。自分の年齢やテイストは大切にしながら、他者に耳を傾けることが重要なのです」