そもそも病児保育とは?

病児保育とは、病気やケガのために通常の保育施設に通えない子どもを一時的に預かるサービスです。共働き家庭の増加や核家族化が進む現代社会において、病児保育の需要は年々高まっています。子どもの急な発熱や体調不良は働く親にとって大きな悩みの種であり、中には仕事を辞めざるを得ないケースも珍しくありません。そこで、病児保育はワークライフバランスを支える重要な役割として注目されています。

全国の病児保育施設数と種類

2022年の調査結果(※)によると、全国の病児保育施設の数は約1898施設です。この中で、体調不良児対応型のみを実施する施設は除外されています。

病児保育事業の運営状況及び地域支援の取組に関する調査研究報告書|三菱UFJリサーチ&コンサルティング

また、病児保育施設は以下の3種類に分類されます。

またこれらの施設型とは別に、訪問型の病児保育サービスも存在します。これは看護師や保育士が自宅を訪問して保育を行うものです。

利用条件や費用

病児保育の利用条件は自治体や施設によって異なりますが、一般的に共働き家庭や保育が必要な子どもが対象となります。利用料金は自治体ごとに定められており、1日の利用で2000~2500円程度が一般的です。

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病児保育の今後の展望 


病児保育
【画像出典元】「fizkes/Shutterstock.com」

病児保育は現代社会において欠かせない支援サービスのひとつですが、施設の運営側と利用者それぞれに課題が多く存在します。しかし、より多くの人が利用できるようになれば、子育てと仕事の両立が可能となり、急な子どもの病気による休職や離職を防ぐことができます。

最近では、病児保育の利用体制改善に向けた具体的な動きがみられます。例えば、こども家庭庁では令和6年度保育関係予算概算要求において、病児保育におけるICT化の推進を盛り込みました。これにより、管内の病児保育施設の70%に予約システムを導入した自治体への補助率が引き上げられる予定となっており、利用者の利便性向上と施設の運営効率化が期待されているほか、事業の安定的な運営を図るための支援強化も計画されています。

さらに、厚生労働省は病児保育施設の職員配置について、一定の条件下で常駐を要件としない柔軟な対応を認めています。これにより、利用児童がいない時間帯には連絡を受けた保育士や看護師が迅速に出勤できる体制を整えることができるでしょう。

病児保育の利用体制が整備されることで親が働きやすくなる一方、子どもの健康を優先できる環境が整うこともまた大切です。社会全体が今一度この問題と向き合い、家庭と仕事のバランスを考慮した支援体制が構築されることを願っています。