入社1か月で「男性職員を味方につけた」新入社員。“作り話”で嫌いな先輩を退職させるまで

 承認欲求が強く、他者に攻撃的で、自分の発言に責任を持たない自己中心的な性格を持ち、自身が所属するコミュニティをどんどん破壊していく――いわゆるコミュニティクラッシャーと呼ばれる存在をご存じだろうか。

 今回はそんなコミュニティクラッシャーの新人職員に遭遇したレイさん(仮名・32歳)に、唖然とするようなモンスターぶりについて語ってもらった。

◆夜中に上司を呼びつける新人職員A子

 今から約2年前、総合病院の医療事務員として勤務していたレイさんは、30人前後いる部署に所属していたという。レイさんが勤務して2年目になる年に入職してきたのが、新人職員のA子さんだ。

 レイさんによると、A子さんは顔が整っていて、第一印象は控えめで、自分のことをあまり明かさないミステリアスな雰囲気が漂っていたそうだ。

「人を見た目で判断するのはあまりいいことではありませんが、なんとなく男性から好かれそうな感じでしたね。実際、部署の男性陣からは好評でしたし」

 第一印象は好評だったというA子さん。しかし、入社1か月後から本性が出始めたそう。

「当時の同僚から聞いた話によると、自分の仕事の資料が作れないからと言って、深夜に男性の先輩職員を呼び出したり、自分の上司や先輩の悪口を周囲に言いふらしたりしていたようです。そして厄介なのが、自分がまるで被害者かのような振る舞いをして、平気で嘘をついていたこと。

 例えば、深夜にA子が呼び出した先輩職員のことを、『夜中に先輩に呼び出されたんです』と真反対のことを言う。ほかには、いつもA子がご飯をおごらせるように仕向けていた同僚男性のことを、『自分に好意があり、しつこくて困っている』などと周囲に吹聴していました。

 なぜか男性陣はA子が嘘を言っているということを信じようとしませんでしたが、私はA子の裏の姿を早々に知ることになりましたね」

◆A子に芽生えた恋心、そのお相手は?

 A子さんの本性を知ったレイさんはその問題行動の数々を上司に相談しようとしたそうだが、男性の上司たちから気に入られてしまっているA子さんは、見事に周囲を味方につけていたという。

「A子は裏で、私のあたりが強いなどと上司に相談していたみたいで、特にA子に何もした覚えがない私はびっくりしました。そしてなぜか私が上司から冷たい目で見られるようになってしまったんです。

 完全に上司たちはA子に騙されているようでしたね。女性は私と数人しかおらず、ほとんどの人がその本性に気づいていなかったんです」

 そんなA子さんの次なるターゲットとなったのがレイさんだった。

「A子は、私が日ごろから仕事の相談などをしていてお世話になっていた仲のいい男性の先輩職員Bさんに好意を抱き、狙っているようでした。

 私とBさんはプライベートでもたまに遊びに行くような仲でしたが、お互い恋愛感情はなく、あくまで先輩・後輩の関係でした。しかしA子に関係を誤解されて、私がターゲットになってしまったんです」

 A子さんは、レイさんとBさんの職場での会話を監視するようになり、プライベートでBさんと遊ぶ機会に、自分も連れて行くよう頼んできたという。

◆A子が嫉妬から起こした問題行動とは


 A子さんの監視や詮索、しきりにBさんに好意を抱いていることをアピールしてくるしつこさに疲弊したレイさんは、「放っておいてほしい」と思ったそう。

 そしてA子さんのさらなる問題行動にレイさんは追いつめられることに…。

「私が以前交際していた同じ職場の元カレとの関係を暴露され、あらぬ噂を立てられたんです。『元カレのことを金ヅルにしていた』だとか、『元カレをストーカー扱いしていた』だとか、まるで自分が周囲の男にするようなことを私がやっていたと言われたんです。

 それを知って正直引きましたし、怒りもこみあげてきて……。とりあえず上司に相談しようと思いました」

 しかし周囲を味方につけていたA子さんのことを疑う上司はいなかったそうで、レイさんの話をまともに取り合ってくれなかったそう。A子さんの言動に疲弊し、上司の態度に失望したレイさんはその騒動の後、すぐに転職したそうだ。

 ――本性を隠しつつ、周囲を魅了し、振り回すモンスター新入社員。あなたの周りにもいるかもしれない。

<取材・文=瑠璃光丸凪/A子4studio>

【瑠璃光丸凪】

編集プロダクションA4studio(エーヨンスタジオ)所属のライター。興味のあるジャンルは、アングラ・音楽・ファッションなどサブカルチャー全般と、ジェンダー問題、政治経済問題について。趣味はレコード集め。