自分の考えを整理する時間を大切に

パリでのロケでは、撮影の合間に郊外まで足を延ばす機会も。食やアート、建築にも造詣が深い鈴木さんだけに、充実した時間を過ごすことができたようです。

「若いシェフが自分たちで育てた野菜を使った料理を出すオーベルジュに泊まったり、電車に乗って、建築家の妹島和世さんや西沢立衛さんが設計したルーブル美術館の別館へ行ったり……。映画の料理監修を担当してくださった小林圭シェフのお店にも共演者の方々と行くことができて、とてもいい経験ができました」

『グランメゾン』シリーズを通じて、プロの料理人との交流も増えたそう。

「レストランに行くと、お店の方に『三つ星シェフが来た』なんて言われてしまって(笑)。すごく照れてしまうけど、自分が大好きな食というジャンルで、気軽におしゃべりできる知り合いが増えたことはとても嬉しいです」

大きな仕事の後は、旅に出て心と体をリセットすることが多いという鈴木さん。

「以前、パリへ行ったとき、日本人シェフがやっているおいしいお店があると聞いて、小林圭シェフのレストランを訪れたことがあったんです。数年後、その方と力を合わせて作品を作れたのはすごいこと。これからも旅での出会いを大切にしたいと思っています」

そうした目標や思いついたアイデアは、ノートに書き留めることが多いのだとか。

「新聞で見つけて、いいなと思った短歌を書き写したり、美術館で気になった作家の名前を書き留めたり、おいしいと教えてもらった調味料をメモしたり。何もかもが書いてあるので、落としたら本当に恥ずかしい(笑)。
ただ書いて終わりにするのではなく、それらをまとめることが大事ですよね。去年はありがたいことに忙しく過ごしていたので、今年はきちんと整理する時間を作りたいですね」

KYOKA SUZUKI
1968年、宮城県生まれ。1989年に映画デビュー。1991年、連続テレビ小説『君の名は』のヒロインを務め、以降、映画やドラマ、舞台で幅広く活躍。近年の出演作にドラマ『行列の女神〜らーめん才遊記〜』『共演NG』『ライオンのおやつ』『おかえりモネ』『鎌倉殿の13人』『御手洗家、炎上する』、映画『椿の庭』、舞台『ショウ・マスト・ゴー・オン』など。現在、映画『グランメゾン・パリ』が公開中

撮影/枦木 功[nomadica] スタイリング/藤井享子(model),石井あすか(still) ヘアメイク/ 千吉良 恵子[Cheek one] 文/工藤花衣 協力/Compartment.,PROPS NOW

大人のおしゃれ手帖2025年2月号より抜粋
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