「人に自慢したくて高額なものを買ってしまった」という経験はありませんか? 『住んでる人の性格は家と土地が教えてくれる』(自由国民社)の著者で、心理カウンセラーの資格を持つ土地家屋調査士、平田真義氏が訪れた“ボロボロの家”の住人は、“ピカピカの高級車”に乗る30代の男性でした……。平田氏の実体験から、高級車やブランド品を所有することが“プラスに働く人”と“そうでない人”の違いを解説します。

承認欲求は「人に見捨てられたくない」怖さから生まれる?

【筆者】

心理カウンセラーの資格を持つ土地家屋調査士。心理学の知識と2,000軒を超える膨大なお宅訪問の経験によって、不動産を見ただけで住んでいる人の性格がわかるように。

【あらすじ】

測量を依頼されたクライアント宅の隣人(30代男性)は、調査のため訪れても常に不在。理由は、“ボロボロの家”に不釣り合いな“ピカピカの高級車”のローンを返済するため、本業とアルバイトのダブルワークを行っているからだという。しかし、高級車は自身にとって重荷であることに気がついた男性は高級車を手放すことに。そう報告する男性の顔は意外なほど晴れやかだった。

人には誰しも「他人からよく見られたい」という願望があるものです。心理学では「承認欲求」と言います。

他人から「すごい」と言われたら嬉しいものですよね。しかし、その「すごい」欲しさに、自分を見失いがちになる場合もあるのです

高級車やブランド品は、誰の目にもわかりやすく「お金を持っている」と見られるアイテムです。

上述の男性は、他人からの「ちやほや」、つまり承認を得るために高級車を所有していたのであって、本当に欲しいと思っていたものではなかったと気づきました。

私は、高級品を所有することが悪い、と言っているわけではありません。

高級品は、持っていることでセルフイメージが上がります。それに、品物にもよりますが、作りもアフターサービスもしっかりしていることが多いような気がします。安い物を何度も買い替えるより、長い目で見れば高級品を所有するほうが得をすることもあるでしょう。

みんなが欲しいものなら、値崩れも少ないので、ある程度所有した後に売ることもできますしね。

しかし、高級品を持つ動機が「自慢したい」「ちやほやされたい」「モテたい」など他人の反応目当てになると、ちょっと心配です

(広告の後にも続きます)

「他人軸」で生きることの“危うさ”

そのような他人軸で生きている限り、自分が満たされることはありません

その車が大好きで所有しているなら、自分も満たされてハッピーですが、他人に満たしてもらおうとすると、満たされることからどんどん遠のきます。

他人は自分の思い通りにはなりません。全然ちやほやしてくれない人もたくさんいるでしょう。そうなると、今度は手を替え品を替え、「すごい」と言われるために散財したり、無茶なことをして注目を集めたりと、悪い方向に進んでしまうことがあります。

家がボロボロ、身体もヘトヘトなのに高級車だけがある状態は、新しい服でも買うかのように、お金で手っ取り早く承認欲求を満たそうとした結果とも言えます。

その心の奥には、「人に見捨てられたくない」「嫌われるのが怖い」という孤独に対する恐怖が隠れていないでしょうか。

繰り返しますが、それが心の支えになっているとか、好きだから持ちたかったという、自分軸に基づいているならよいのです。

この男性は、ローン返済のために休みもなく働き、きっと乗る時間すらないのに高級車を抱えていたとはいえ、自分で自分の心の問題に向き合って答えを出したところがすごいと思います。自分で気づくのはとても難しいことだと思いますから。

今はきっと自分軸に従って幸せに暮らしているに違いありません。