会社員をしながらFIREを目指すのであれば、人が驚くほどのハードワークも当たり前。本業を効率化し副業にあてる時間を生み出さなければ、いつまでたってもFIREは実現できない……。本記事では29歳でFIREを達成したヒトデ氏の新刊『1万回生きたネコが教えてくれた 幸せなFIRE』(徳間書店)より一部を抜粋し、副業でFIREするための「甘くない現実」をご紹介します。
〈登場人物〉
・佐藤智也…FIREしたいと願う25歳会社員。不思議なネコ小鉄を拾った。
・小鉄…1万回生きたネコ。人間の言葉を話す。これまでの猫生で見てきた飼い主たちのFIREの成功と失敗の記録を共有できる。今回は過去の飼い主である星野健太郎(29歳)の記録を智也に共有。
・星野健太郎…小鉄の元飼い主。
FIRE成功パターン:星野健太郎(29歳)男性
アフィリエイトブログでFIRE達成
彼の部屋は、僕の部屋と大して変わらない、普通のアパートに見えた。
「健太郎さんは、副業のアフィリエイトブログでFIREをしました。これは退職する1年ほど前の彼の1日ですね」
実際にFIREするくらい副業を頑張ってる人のリアルが見られるというのは、これから頑張りたい僕にはありがたい話だ。
朝7時、アラームが鳴り響くと、健太郎さんはのそのそとベッドから起き上がった。眠たそうな目をこすりながら、すぐにパソコンを開き、前日のブログのアクセス解析と、当日の収益を確認する。
夜間のアクセス数や広告収益をチェックし、日々の成長に一喜一憂するのが彼のモーニングルーティンのようだ。健太郎さんは、PCの画面を見てニヤリと笑った。
「なんで今笑ったの?」
「おそらく、前日の売上がよかったのでしょう。彼の密かな楽しみですね」
確かに出社前に副業の売上がよかったのなら、それはもう最高だろう。きっと僕だってニヤニヤしてしまう。
(広告の後にも続きます)
仕事中も副業のことを考える
副業のために本業を効率化
8時過ぎ、PCでメール返信をしながら簡単な朝食を済ませた後、スーツに着替えて通勤をする。電車の中でSNSをチェックし、有識者の使えそうな手法や、自分のブログに活かせそうなアイデアを見つけるたびに、メモアプリに書き留める。彼のスマホには、次々とアイデアやタスクが追加されていた。
オフィスに到着すると、健太郎さんはデスクに座り、パソコンを立ち上げる。まずは、本業の業務メールを確認し、重要なものに目を通す。彼は適度に手を抜くため、効率的に仕事を進めることに長けていた。
「健太郎さんの仕事っぷりは見事だね。重要な会議や上司からの依頼はしっかり対応してるけど、絶対に自主的に手をあげないし、早くタスクが終わっても次の仕事を取ってくることもない」
「それって、見事なんですか?」
呆れた目つきで小鉄が疑問を投げかけてくるが、僕は本当にそう思う。結局たくさんの仕事をこなしても、また新しい仕事が降ってくるだけで、ただ大変な目にあうだけだからだ。
仕事をこなした量でお給料や評価が上がらないなら、必要以上に頑張る必要性を感じないのは仕方がないことではないだろうか。