プロ野球楽天の元監督で、中日、西武、阪神でプレーした田尾安志氏(70)が2025年1月8日にユーチューブを更新し、昨季打撃不振に苦しんだ阪神・中野拓夢内野手(28)を独自分析した。

「バッティングの難しさをこの4年で感じたと思う」

中野は20年ドラフト会議で阪神から6位で指名され入団。ルーキーイヤーの21年は135試合に出場して打率.273、1本塁打、36打点、30盗塁を記録し、盗塁王のタイトルを獲得した。

23年シーズンは、ショートからセカンドにコンバートされた。打率.285を記録し打撃で貢献する一方で、ゴールデングラブ賞を受賞するなど守備でもチームに貢献した。

24年シーズンは143試合に出場し、打率.232、1本塁打、32打点と振るわなかった。打率は、プロ4年で最低の数字だった。

中野の実力を高く評価している田尾氏は「21年から23年の3年間は、必ず何かのタイトルを取っている。素晴らしい選手に育ってきていたが、去年ちょっと落ちてきた」と語り、こう続けた。

「バッティングの難しさをこの4年で感じたと思う。何がそういう成績になっていったのか。やはり去年のバッティングの目標として、大きいのを打ちたい。そういう気持ちが裏目に出たような気がする。大きいのを打つということは大事なことだと思う。大きいのを打てれば、それにこしたことはないが、無理やり振りにいった。そういう意識を感じた」

(広告の後にも続きます)

「インサイドの球に対して過敏な反応をしている」

田尾氏は中野と同じ左打ちで、現役時代、3度の最多安打を記録した好打者だった。田尾氏は自身の経験を踏まえ、中野の24年シーズンの打撃を振り返り、不振の要因を分析した。

「インサイドの球。この球に対して過敏な反応をしている。ボール球でも振りに行く。体の近くにきた球を全部振りに行く。あそこの球をきっちりとらえれば、大きいのが打てる。そういうのが、彼の中に強くあったのかなと。その意識が結局、打率を落とす。そしてフォームを崩す。そういうものにつながったと思う」

そして、24年シーズンは中野本来の打撃スタイルではなかったと指摘し、今後目指すべきスタイルに言及した。

「中野選手はそれほどホームラン、ホームランというバッターではない。ホームラン競争ができるバッターではない。何で勝負するかというと、やはりヒット数、打率、出塁率。こういうところで、自分をアピールするべき。その選手が無理やり引っ張りにいった。これがひとつ、大きな落とし穴に入ってしまった要因だと思う」

阪神は、24年シーズンはリーグ2位に終わり、リーグ連覇を逃した。新監督の藤川球児監督(44)のもと、不振に苦しんだ中野は巻き返すことができるのか。25年シーズンに注目が集まる。