都内の大学の同級生だった私と彼。学生時代から交際し、夢をかなえてIT企業に就職した彼と25歳のときに結婚しました。仕事にやりがいを感じていた夫は毎日一生懸命働き、実績を挙げようとしていたのですが……。

激しい出世競争に…

夫はあこがれていたIT企業に勤め、成果主義の厳しい環境で働いていました。周囲はエリートばかりで競争が激しい世界。彼は会社に認めてもらうため、がむしゃらに働いたものの、ついには過労で体調を崩して入院してしまいました。

「一生懸命やってきたのに、こんなことになって……」

自信を失った夫は、体調が元に戻って復職しても、以前のようには働けなくなっていました。出世競争にも敗れ、将来のビジョンも消え失せ、ストレスをためていくばかり。

そんなとき、夫の実家から助け舟が。それは、義実家がある田舎への移住。学生のころから都会で生活していた私たちでしたが、夫婦で相談し、背に腹は代えられないと退職と引っ越しを決めたのです。

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田舎での新生活

夫と私は田舎で農業を始めることを決め、義両親に教わりながら農作業に励むことに。当初は「都会で失敗して出戻ったダメ息子」と思われないかなど、悲観的になっていた夫でしたが、実際に農産物を自分たちの手で育てていくと、興味をひかれた様子です。

村の人々も、年配の方ばかりですが皆親切で、素人の私たちに根気よく知識やノウハウを伝授してくれました。

初めての実りの時期を迎えるころには、「農業っておもしろいな」と実感し、仕事にやりがいを見出したよう。「実は私も!」と彼を支えてきた私も、うれしくなりました。

こうして、2人で農業に取り組む日々がスタートしました。私は、「この村に移住してよかったわ。ここの生活、私たちに合っているんだよ」と、やる気に満ちた夫に伝えました。