河村真木子のリアル人生相談 第15回:コミュニティの力は未来をつくる

元外資系バリキャリ金融女子で、会員数1万人を超える業界トップ規模のオンラインサロンを運営する河村真木子さんが、マリ・クレール読者のお悩みに本音で答える「河村真木子のリアル人生相談」。今回は「社会とのつながり」をテーマに、2024年の振り返りと今年の展望について聞いていく。

コミュニティの力で飛躍

――河村さんにとって2024年はどのような一年でしたか?

今年は、私が運営するオンラインコミュニティ(Holland Village Private Community/ホランド・ヴィレッジ・プライベート・コミュニティ)を通じて、社会との新しいつながりをたくさん感じた一年でした。

1月1日に発生した能登半島地震へのボランティアから始まり、カフェ(Holland Village Private Cafe/ホランド・ヴィレッジ・プライベート・カフェ)が2店舗オープン、さらに東京都知事選挙が行われた際には、候補者との対談など。私ひとりでは絶対にできなかったことが、コミュニティの力でどんどん実現していきました。本当に飛躍の年でしたね。

年末には母が突然倒れて、帰らぬ人となりました。亡くなる2週間前に、どういうわけか母が「ピンピンコロリで死ねるのが憧れ」と家族LINEで言っていて、全くその通りになりました。亡くなる直前までハワイでゴルフを楽しんで、あっという間に天国に旅立ってしまいました。

今でも信じられない気持ちや母が恋しい気持ちの整理がつかなくて、葛藤する日もありますが、母らしい最期だったなと安堵(あんど)する気持ちもあります。

そういう意味でも2024年は、私にとって忘れられない年となりました。

――能登半島地震ではどのような支援を行ったのですか?

最初は支援金の寄付を考えていただけだったんです。でも、コミュニティメンバーさんたちから「助けたい」「何かしたい」というリクエストをたくさんいただき、炊き出しを行うことにしました。当時、飲食店以外は被災地で調理ができないというルールがあったので、私たちのカフェの形式を活かして、現地で食事を提供したんです。

メンバーさんたちの実行力には驚きましたね。ある方は車を出してくださり、被災地で電気やガスが使えない状況を想定してバーベキューセットと人員を送り、現地で調理を手伝ってくださる方もいました。しかも何度も。他にも、トラック数台分の食料を無償で提供してくださる方もいて。本当に全国各地から多くの支援と温かい気持ちが集まりました。

私は料理が得意なわけでもないですし、被災地に行っても迷惑をかけてしまうのではないかと躊躇(ちゅうちょ)していましたが、みなさんのギブの精神がすごく強くて、自然と背中を押されましたね。その結果、能登半島の3か所で炊き出しができました。ひとりでは到底成し遂げられないことを、コミュニティの力で達成できたという意味でも、とても印象的な出来事でした。

――5月はHVPCカフェの東京2号店、9月には大阪店がオープンしました。こちらはどうでしょうか?

東京2号店は路面店のため、カフェメンバー以外の方にもテイクアウトでフードを提供できるようになったんです。さらに11月に始めたUber Eatsも好評で、多くの方にできる限り無添加・オーガニックにこだわった食材の味をお楽しみいただいてます。

大阪は東京と比べてサロンメンバーの総数が少ないこともあり、会員制の飲食店を出すこと自体「ありえない」という声が多かったんですよ。飲食店は、半径300メートル以内に数万人が動き回る環境があってはじめて成り立つといわれているので。最初は需要があるのか不安でした。

でも、メンバーを募集したところ、大阪店だけでも東京と同規模の1000人以上の方がカフェメンバーになりたいと応募してくださったんです。関西のみなさんも健康志向や無添加・オーガニックに興味を持たれていることが分かり、とてもうれしかったですね。

これをきっかけに、こうした素材にこだわったオーガニックカフェは全国展開したほうがいいなと感じました。じつはすでに、サロンメンバーさんの中からカフェ運営に興味のある方を募り、意気込みなどをプレゼンしてもらうオーディションもしたんですよ。その候補者たちと日本全国、さらには海外へもHVPCカフェを広げていくべく、プロジェクトを進めています。

(広告の後にも続きます)

女性たちとともに、未来をつくる

――東京都知事選挙のときには、候補者との対談にも挑戦されましたね。

はい、選挙に関する対談も私にとって初めてのことで、大きな挑戦でした。最初はSNSやサロンでの発信で、政治色が強くなることを懸念していたんですが、石丸伸二さんのSNSを駆使した活動に共感して。あと、金融業界出身で、アメリカ帰りといった共通点もあったので、お話しを聞いてみたく、対談することにしたんです。

そしたら「別の候補者とも対談を!」という声が広がって、投票日まであと4日ほどだったのに、すぐに、安野たかひろさん、田母神俊雄さん、内海聡さんとも対談する機会をいただきました。「意見と人格は別」「真木子さんと意見が違って当然」「意見が違ってもお互いリスペクト出来る」雰囲気がコミュニティ内にはあって、政治にも関心の高い女性がメンバーには多いことをあらためて実感しましたね。

他にも今年は、上野千鶴子さんや成田悠輔さん、養老孟司さん、池上彰さんなど、私にとって憧れの方々とお話しする機会も得られて、サロン内で対談をしたんですが、これもメンバーさんのつながりや後押しのおかげでした。

――サロンのコミュニティの中から、今年はさらに社会へとつながる活動が増えていたんですね。

サロンは、最初は私が先生となり、金融を教えるという心持ちで始めたんですが、ふたを開けてみると、メンバーさん一人ひとりが主役級のような人がたくさんいて、人材の宝庫だったんです。優秀な女性が集まっているコミュニティなので、みなさんが力を発揮したら社会に与えるインパクトはすごいだろうなと思うんですよね。そこに気付いてグッと方向転換をしました。

もともと今年は、メンバーさんが楽しめる企画や福利厚生の充実をはかろうと動いていたんですが、それも継続しつつ、途中でサロンという場は単にサービスを提供したり、何か特定のコンテンツを発信したりするだけの場ではなく、進化や変化し続けることが鍵だと気付いたんです。

一人ひとりの意見が尊重されて自己開示しやすい、「ここに居場所がある」という感覚を持てることが大切で。誰もが主体的になって発言したりコメントを残すような場を作ることが、コミュニティの価値を高めることにもつながっていると実感しています。

――2025年の展望を教えてください。

母が亡くなったことで、私自身、昨年までの自分と2025年からの自分は別人というイメージがあるんです。青天のへきれきなのでしょうか。人生は終わるということ、どんなに大切な人でもある日、突然いなくなってしまう。人生はほんとに一瞬ではかない。だからこそ1日1日を大切に、残された時間で自分がやりたいと思ってることを達成しなきゃと思うようになりました。

2025年も、日本最大級のオンラインサロンの管理人として、メンバーのみなさんの意見やアイデアをもとに、新しい挑戦をしていきたいと思っています。寂しい気持ちを抱えながら、でもお母さん見ててねって前進していくつもりです。

※お悩みの募集はマリ・クレールのインスタグラムのストーリーで定期的に募集するので、フォローの上、ぜひお気軽にご応募を!

text: Tomoko Komiyama hair & make-up: Erika Nakamura photo: Tomoko Hagimoto

河村真木子のリアル人生相談 第14回:美しく歳を重ねるために必要なこと
河村真木子のリアル人生相談 第13回:メンタルヘルスの整え方