女性トラブルを巡る騒ぎで、タレントの中居正広さん(52)が公式サイトで「お詫び」を掲載したが、その一部文面についてネット上で違和感を示す声が相次いでいる。

それは、女性との示談成立で芸能活動を支障なく続けられることになったという一節だ。この件についてXでも発言している紀藤正樹弁護士に、どこが問題になったのか見解を聞いた。

「視聴者やスポンサーが決めること」などと反発が

中居さんのトラブルが2024年末に女性セブンや週刊文春で報じられ、25年に入っても続報が相次ぐと、テレビなどのレギュラー番組が次々に差し替えや放送休止になった。中居さんは事実上、活動停止状態になっている。

そんな中で、中居さんは25年1月9日、公式サイトでお知らせを出し、トラブルについて初めて説明した。

そこでは、これまでトラブル解決に伴う守秘義務から発信を控えていたが、自らの活動で関係者に苦労を強いてしまっているため、話せる範囲内で伝えたいと述べた。トラブルは事実だが、相手と示談が成立していると明かしたうえで、相手の提案には真摯に向き合ってきたと説明した。そして、一部で報道された手を上げるなどの暴力はないと強調した。

そして、「なお、示談が成立したことにより、今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました」と続けた。また、「このトラブルについては、当事者以外の者の関与といった事実はございません」と述べた。これは、フジテレビの社員がトラブルに関わったとする週刊文春の報道を否定したとみられている。

この謝罪文が報じられると、ネット上では、特に芸能活動に触れた一節について、疑問や批判が相次いだ。「示談してるからそれはそう」と理解を示す声もあったが、「自分から言う言葉では無い」「視聴者やスポンサーが決めること」などとする意見が続出した。

この一節について、紀藤正樹弁護士は9日、「不要ないし誤解を招く」などとXに投稿し、その理由について、J-CASTニュースの取材にこう説明した。

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「中居さんのためにならず、被害者への配慮も足りない」

「なお書きの部分は、中居さんの意思とも取れますし、被害者の意思とも取れます。芸能活動が続けられるかは、視聴者やクライアント、テレビ局が決めることです。中居さんの意思なら、あくまでも主観の問題で、客観的な事実と違いますので、リスク回避から普通は削除すると思います。もし示談の中で、『今後の芸能活動継続に異議はない』という文言が入っていたとすると、被害者の意思が関わっている秘匿事項が書いてあることになります。これが本当なら、守秘義務違反になってしまいます。有害であり、誤解を招きますので、私なら絶対に入れないと思います。この部分は、余談となっていますので、なくても通じるはずですよ」

たとえ被害者の意思だったとしても、中居さんが芸能活動を続けられるとは限らないと、紀藤弁護士は指摘する。

「示談内容は、被害者と加害者だけの問題だということが理解されていない感じがします。お金を支払うのはほめられることだとしても、それで加害者が社会的に許されるとすると、お金のあるなしで不公平になってしまいます。他の多くの被害を埋もれさせ潜在化させることにつながりますし、なかなか声を出せない被害の実態を認識していないのではないかと思ってしまいます。なお書きの部分を入れたことは、中居さんのためになっていないうえに、多くの被害者への配慮が足りないことにもなるということです」

中居さんが芸能活動を再開できるかについては、「記者会見しても、復帰は難しいかもしれませんが、その際には、一定の説明責任を果たすことが求められると思います」との見方を示した。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)