男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:正月に妻が「離婚」を切り出してきた。結婚7年目、世帯年収3,000万夫婦に亀裂が入ったワケ
裕也と出会って約1年、正式に交際してからもう半年になる。順風満帆だし、幸せな恋人同士と言えるだろう。
でも私はここ最近…いや、交際が始まったくらいから、実は気になっていたことがある。
「大学時代の友達と飲みに行く」と言っていた裕也の帰りを、合鍵を持っている私は、彼の家で待っていた。すると、24時過ぎになってようやく彼が帰ってきた。
「あれ?美香いたんだ」
「うん。LINEしたのに、見てなかった?」
「あぁ〜ごめん。そういえば来ていたかも」
酔っ払っているのか、ふわふわしている裕也。今こそは!と思い、私はたたみかけてみる。
「裕也。今日の友達との飲み会って、次はいつあるの?一緒に行きたいな」
「…なんで?」
私が最近気になっていること。それは正式な彼女になって半年も経つのに、私は裕也の周りの友達や同僚など、周囲の人に一度も「彼女です」と紹介してもらえていないことだった。
Q1:男はちゃんと、結婚を意識している?
裕也とは、女友達の遥からの紹介で出会った。
裕也と遥は以前勤めていた会社で、同期だったらしい。遥と私はここ最近仲良くなったのだけれど、「彼氏を真剣に探している」と遥に頼んだところ、裕也を紹介してくれることになった。
37歳になる裕也は、3年前に独立して、今は自分の会社を経営しているという。
しかも見た目もカッコよくて、どうしてこんな人が独身で残ってくれていたのか、奇跡かなと思った。
「裕也はバツイチなんだけど、いい男だから」
そんなざっくりした遥からの紹介を受け、恥ずかしそうに笑っていた裕也。
そして私は、その笑顔にまんまとやられてしまった。
「美香ちゃん、今彼氏は?本当にいないの?」
「いないんですよ〜」
「そうなんだ。意外だね」
こんな会話からわかるように、裕也も初めて会った時から私のことを気に入ってくれたらしい。
遥と三人で食事をしてから1週間後に、二人で会うことになった。
しかも初めて食事へ行ったその日。なんとなく流れで裕也の家へ行くことになり、結局そこからズルズルと関係が続き、気がつけば1年経っていた。
もちろん、私もただ引き延ばしていたわけではない。都合が良い女に成り下がるつもりもなかった。
曖昧な関係が続いて3ヶ月くらい経った時に、私はちゃんと聞いた。
「私たちの関係って、何?」と。
最初、裕也はのらりくらりと私の質問に対する回答を避けていた。
しかしもう逃げられないと思ったのか、5ヶ月目くらいでようやく彼は認めた。
「私って、裕也の彼女という認識で合っているよね?」
「うん、合っているかな」
この言葉を聞いて、私が満面の笑みを浮かべたのは言うまでもないだろう。
そしてそこからは、私たちの交際は順調だった。
週末は基本的に一緒にいる。旅行もするし、合鍵ももらった。他に女の影があるわけでもない。
でも普段会食が多い裕也は、私といる週末は家でご飯を食べたがる。
「外食じゃなくていいの?」
「うん。だって、美香のご飯が美味しいから」
そう言われると、張り切って作ってしまうのが女心というもの。それに手料理を「美味しい」と言ってもらえるのは嬉しい。
「本当に美香って家庭的だよね。掃除も料理も、全部完璧じゃん」
「そうかな。ありがとう」
そんなことはわかっている。
でも今年で、私は35歳。そして裕也も38歳になる。事務職をしている私は、今すぐにでも仕事を辞めて専業主婦になってもいい。こちらは準備万端だ。
― そろそろ結婚も意識してもらわないと困るんだけど…。
そう思い、さりげなくプレッシャーを与えている。
「そういえば、最近遥と会ってる?遥と私の共通の女友達が、来月結婚するらしい」
「そうなんだ」
「いいなー。でもその子、まだ30歳だって。若いのにすごいよね」
「若いほうが、勢いがあるんじゃない?」
しかし毎回こんな感じで、裕也にはどうも響いていないらしい。
だからせめて、彼の周りを固めておきたかった。
Q2:男が、周りに紹介したがらない理由は?
そして裕也と出会ってから半年くらい…オフィシャルな“彼女”になってから、気がついたことがある。
― あれ?私って、一度も裕也から他の人に「彼女です」って紹介されていなくない?
最初は、曖昧な関係だったからだと思っていた。
しかし今は、正式な彼女だ。
しかも裕也に友達がいないわけではない。連日、会社の人やクライアント、そして友達たちと楽しそうに飲みに行っている。
「裕也、今日は誰と飲んでいたの?」
「今日はクライアントだよ」
「女性は?いた?」
「先方にはね。でも仕事の人だから」
「そうだけど…」
裕也が遅くなる週末は、鍵を使って裕也の家で待っていることが多かった。
でもやましいことがないなら、先に私に言って欲しい。
「ねぇ、何もないんだよね?だったら、せめて誰と飲みに行くとか、誰と会ったとか…それくらいは教えて欲しいな。私、裕也の彼女なんだし」
「そんなこと、いちいち報告する必要ある?」
「だって、心配だもん」
このことで、度々裕也と喧嘩をすることもあった。
報告してほしい女と、報告したくない男…。
これはもう、男女が永遠に理解し合えない特徴なのかもしれない。
そして私がさらに不安になるのは、裕也が私のことを誰にも紹介してくれないことだった。
「裕也ってさ、なんで私のこと友達とかに紹介してくれないの?何かあるの?」
彼女として、裕也の友達に会いたいと思うのは自然なことだろう。でも頑なに、彼は私を紹介してくれない。
「何もないに決まってるじゃん。でも男友達との飲みに彼女を連れて行くとか…大学生じゃないんだから」
「なんで?他の人は?」
「他も連れてこないよ。男同士の飲みの時は、男のみ。そう決まっているから」
私の友達にはいつでも会わせられる。むしろ会って欲しい。
でも一度私の友人に会ってもらい、結婚の有無をさり気なく探ってもらって以降、裕也は私の友人にさえ会おうとしない。その行動にも、怪しさを感じる。
「絶対やましいことがあるからだよ」
「だから違うって…」
「私の友達には、いつでも裕也を紹介できるのに」
「まぁタイミングが合えばね」
どうして裕也は、そこまで私を男友達などに会わせるのを嫌がるのだろうか。
私に魅力がないから?恥ずかしい?
でも見た目も悪くないし、ちゃんと仕事もしている。人様に会った時に、失礼のないように完璧に振る舞える自信もある。
それなのに、どうして裕也は私を紹介してくれないのだろうか。
そして結婚のことは、どれくらい真剣に考えているのだろうか。
幸せだけれど、裕也が考えていることがわからず、悶々としている。
▶前回:正月に妻が「離婚」を切り出してきた。結婚7年目、世帯年収3,000万夫婦に亀裂が入ったワケ
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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男が周り知人に紹介しない時。それは…