自分が便秘気味だと感じたとき「すぐに病院へ行く」という人は決して多くないでしょう。しかし、人によってはその便秘が「大腸がん」のサインかもしれません。『腸にいい習慣ベスト100』(総合法令出版)著者で松生クリニック院長の松生恒夫氏が“危険な便秘”の具体的な症状について解説します。
“直近1ヵ月”に要注意!…がんの疑いがある「危険な便秘」
単なる便秘だと思っていたら、大腸の病気が潜んでいることがあります。特に問題になるのが大腸がんです。大腸がんができているために腸管内が狭くなり、排便が困難になり、便秘になることがあります。
直近1ヵ月程度の間に始まった便秘は、特に注意が必要です。私のクリニックでも「なんとなく便秘気味で大腸の状態がおかしい」と来院した患者さんで、大腸がんとわかった人が複数います。
大腸がんを疑う場合、具体的にどんな症状が現れるかを列挙してみました。
1.急に便秘になった
2.便が細くなった
3.排便のあとも便が残っている感じがする
4.便秘と下痢を繰り返している
5.下痢が2週間以上続く
6.排便が不規則
7.血便が出た
8.赤い便や黒い便が出た
9.慢性の便秘で、下剤をよく使う
10.お腹の張りや腹痛がある
特に①「急に便秘になった」、⑦「血便が出た」という人は、すぐに胃腸科などの専門医を受診しましょう。
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女性に多い便秘は「年代別」で原因が異なる
20〜30代の人で便秘で悩まれているのは、圧倒的に女性が多いです。忙しさやダイエットのために朝食を抜いていたり、炭水化物だけを抜く糖質オフダイエットをしたりする食生活が原因とみられます。
女性は下剤に抵抗がない人が多く、便秘をなかなか人に相談できないために、重症の下剤依存症に陥ってしまうことも少なくありません。睡眠や食生活を中心に、徐々に下剤なしでの排便ができるように生活を見直す必要があります。
40代の女性では、20〜30代からの便秘が少しずつ進行してしまった便秘歴の長い人が増えてきます。便秘歴が長い場合、下剤を使っている時期も長いことが多く、大腸内視鏡検査で大腸メラノーシス(大腸黒皮症)が見つかる頻度が高くなります。
40代に入ると女性は、プレ更年期(更年期の前段階の時期に更年期に似た症状が現れること)の症状が現れやすくなり、ホルモンバランスが崩れ、体調が悪化しやすくなります。それだけでなく、夫婦間のストレス、子育てのストレス、親の介護など、悩みが重なりやすくなります。
また、出産を経験している方であれば、出産後、肛門周囲の筋肉が一時的に弱るために、便が直腸に溜まってもなかなか便意が起こらなかったり、授乳により体の水分が不足して便秘になってしまったりします。